フレンチ/全国のフレンチ

カフェ・ウルバーノ(岡山ANAホテル)(2ページ目)

勝手に始めた旅紀行。地方にも特徴あるフレンチはたくさんあるに違いない!と思い立ち、まず出かけたのはのぞみで3時間20分で着く「おきゃーま」。そこで出会ったものは一体?!

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

フランス料理
千両茄子のピュレも新しい味わいを奏でる

海と山から届く自然の恵み

前菜はその新見で獲れたイワナのタルタルと八穀米のガトー仕立、そこにキャビアが添えられる。キャビアといってもカスピ海のものではなく、北部の新見で養殖されたものから獲れたキャビアだそうだ。塩加減は緩い代わりにほんのりと優しい味わいに仕上がっていて、軽めにスモークされたイワナの味わいを複雑に盛り上げるアクセントとなっている。地のものをフランス料理の技術で昇華させるのは地方で感じる享楽の一つだろう。

フランス料理
黄韮を使った意欲的な料理
瀬戸内産の鰈(カレイ)のポワレは黄色のニラで包まれたもの。日に当てないで育てるとニラは黄色くなるという。それは白アスパラと同じか。香りや味わいは緑のそれとはやや異なり火を通しても強く香りが沸き立つものではない。ほんのりと風味を漂わせ、素材とぶつかり合うということがない。単なる地の魚のスープ仕立てに終わらずに何か工夫する料理人の姿勢を感じつつ、お勧めのソーヴィニオンブランが進む進む進む。

フランス料理
高い技術で仕込まれた完璧なソースだった
肉料理になって初めてフランスはシャラン鴨の登場だ。ソースはじっくり煮込んだ赤ワインのソースだが生姜とレモンの風味のコンフィチュールがついている。驚きはイチゴをフヌイユを纏った形でそのまま登場してきたことだ。クラシックな料理に地の果物を添えてそれが実に効果的に味わいを引き締め、そして赤ワインとのマリアージュにより味覚はさらに開放される。とは言え、主役はあくまでシャランの鴨。極上の味わいであったことは言うまでもない。食べる側に迫る料理の力も十分だ。

築地にいれば全国から最高の素材が届く。しかし、地方で食べるそれは築地とは違う地味がある。それは何故かと考えると「水と空気」が違うからに他ならない。素材は一級品でも水と空気は東京のものであれば素材もびっくりするというものだろう。

店内を見渡すと、気軽にワインを傾けるカップルや宿泊客らしきゲストでいっぱいだ。ほんのりとした薄暗さは朝と昼の顔とはまったく異なるに違いない。サービス陣はテキパキと動き、シェフも時折ダイニングに姿を見せる。不特定多数のゲストが集うホテルにありがちなかしこまった動きと言うよりも、親しみやすい、でもちょっとぎこちない、味のあるもてなしの心を感じた夜となった。

フランス料理
デザートには幸運を呼ぶ四葉のクローバーが添えられる
カフェ・ウルバーノ
営業時間: 7:00~23:00 (LO 22:30)無休
電  話: 086-898-2268(受付時間:10:00~23:00)
岡山全日空ホテル1F


さて、次項は岡山で行ったところ、食べたものを書き連ねてみたい。あっと驚くものが満載だ。
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