ヴィヴィッドな色合いも印象的だ |
お得なランチコースにトリュフを加えて
まずは開店時より途切れることのないメニュー、ウッフ・ア・ラ・ネージュ、そして菊芋のピュレと黒トリュフ。ふわりとした卵白の食感とねっとりとした菊芋のピュレが口の中で溶け合い、食感と味覚の核融合がしばしの時間継続する。小さな一皿としてのインパクトはこれ以上でもこれ以下でもいけないギリギリのところか。計算された完成度の高い、デュカスらしいアミューズと言える。カボチャのスープとリコッタチーズのニョッキ、ベーコンとクルトン。寒い季節を意識したあたたかなスープだが、チーズのニョッキを加えることでモダンさと腹持ちのよさが同時に実現する。ほんのりとしたカボチャの上品な甘さが印象的な一皿だ。
玉葱の上品な甘みがなんとも心地よく |
平スズキの<キュイ・オ・プラ>、ポテトとポロ葱、黒トリュフ。身の厚いスズキの食感を損なわず、やや強めのソースに絡むポテト、そしてポロ葱の甘さとほろ苦さ。今や季節問わず登場する平凡な魚とも言えるスズキをトリュフを絡めることで極上の料理に仕上げている。素材本来の味と絡み合うバランスを見事に調和させたこの料理はシェフ、ジェロームの高い技術によるものだろう。
素材も高品質だが、決め手はやはりソースだ |
「おいおい、一つ星でジュドブッフかよ。」かつて移転後のパリのヒラマツでもそう思ったものだが、変な先入観はいけないいけない。それなりのところで自信を持って出される料理はやっぱり記憶に残るほどのものであったことを思い出す。
銀座版ジュ・ド・ブッフといったところか |
5皿の料理が胃袋に収まったのだが、不思議な位、おなかが重くならない。これが現代フランス料理というやつなら、夜もフレンチでいけそうだ。
デザートを忘れていた。
デザートで盛り上がらなければ楽しく食事を終えることはできない |
うっとりとなったところでロワールのデザートワインがサービスされ、ここで初めて心地よく酔いが回っていることに気づく。
ここは銀座の一等地の最上階。外は粉雪が舞うグレーな世界だ。今日だけのモノトーンな景色を楽しみながらシャネルの柄のショコラをいただく。
ベージュのダイニングを見ていつも思うのだが、ゲストもスタッフも非常にゆったりとしているのはラガーフェルドデザインのユニフォームだからだけではないだろう。ゆとりある空間とモダンなインテリアはパリでもなく、モンテカルロでもなく、そこはまさしく銀座。
今回の取材は女性のためのグルメガイド、河野優美さんとの合同取材記事。写真の美しさは、そして彼女の見たデュカスの料理はどう記憶に残ったのであろうか。あわせてご覧いただきたい。
■ベージュ アラン・デュカス 東京
中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング10F
TEL:03-5159-5500
営業時間
ランチ 11:30~14:30(LO)
ディナー18:00~21:30(LO)
定休日:夏期8月13~17日の期間・年末年始
JR有楽町駅徒歩約5分
銀座線・丸の内線・日比谷線銀座駅A13出口徒歩約3分
有楽町線銀座一丁目駅5番出口徒歩約3分
地図
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