フランス料理

銀座スタイルの店に

前回のガイド記事「美食のテクノロジー」においてアラン・デュカスについて少し書いてみたのだが、その中で『記憶ーどこに向かっているかを知るためにも、どこから来たかを忘れてはいけない』という一節がある。

彼の出身はバスク地方の小さな村、カステルサラザン。そこから名だたるレストランを渡り歩くと同時に偉大な3人の料理人からシンプルだが非常に奥の深い薫陶を得る。

ミシェル・ゲラール、ロジェ・ヴェルジェ、そして最も影響を受けたと言うアラン・シャペルの歴史に名を刻む3人の料理人だ。素材重視と地中海文化は彼の料理を口にしたときに必ず感じる、まさにエスプリそのもの。地中海沿岸の食材を現代的なフランス料理として再構築し、その結果モナコにあるルイ・キャーンズは三ツ星レストランとして未だ名声を保っている。

フランス料理
ウッフ・ア・ラ・ネージュ
そして東京においてフランス料理の伝統と自分の料理のルーツを昇華させて、新しいフランス料理を提供するのがベージュ アラン・デュカス 東京だ。

開店当初は、料理のモダンさ、有名ブランドとのコラボなど新しいことへの取り組みが賛否両論を生んでいたのも事実。しかしその後様々なブランドとフードビジネスが一緒になるという事例はもはや当たり前の時代になった。

卓越したビジネスマンであるデュカスは大きく構えていたに違いない。美食のテクノロジーには「5年かけて銀座スタイルの店を」と話す。出店する地域にリスペクトする彼のやり方が、徐々に徐々に銀座という土地に浸透してきたのではないだろうか。

昨年より料理長はジェローム・ラクレソニエール。スーシェフからの昇格だ。競争が激しいグループ内でついに上り詰めたシェフの座の居心地はいったいどういうものなのだろう。「いや、何も変らないよ、僕はずっとここにいたからね。」99年よりアラン・デュカスと仕事をするナイスガイはフレンドリーな笑顔と共にこう話す。

この冬と春に向けた5000円のランチコースにアラカルトでトリュフの使った料理を加えたものをご用意いただいた。