フレンチ/東京のレストラン

ロオジエ(銀座)(2ページ目)

パリのホテル、ル・ブリストルのエリック・フレションとのコラボレーションディナーはそれぞれの料理に合わせるワインが用意されていた。秋深まるこの季節に、ロオジエ再び。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

シャンパーニュ
香りも楽しめるシャンパーニュだ

アミューズに心躍らせ

螺旋階段を上り、メインダイニングへ。このアプローチはロオジエならではというより銀座そのものではないか。気品あるワクワク感。大人になって感じるホンモノに出会ったときの喜び。そんな優雅で、晴れやかな気持ちになるロオジエのインテリアは相変わらず、モダンなもの。

シャンパーニュはジェローム・プレヴォー。「渋いじゃん」。個人的に好きな生産者だけに少し嬉しい。フレッシュというより、しっかり系。ちょっとひとひねりある味わいは曲線美が見事なロブマイヤーの中で穏やかな泡立ちを醸し出す。

フランス料理
覚醒するアミューズとはこのことか
アミューズは実に楽しい驚きだ。まずは右手から。紫芋のクリスプスに座る鱈のムース。パリッ&ふんわりの食感のコンビネーションが楽しい。

次は小さなフォアグラと間に挟まれたウナギ。上に乗るのは海苔。3つの味わいがはじけて、そして交じり合う。

3つ目はキュウリのジュレ仕立て。カリッとしたキュウリの歯応えとハーブの味わいに先ほどのフォアグラの味わいがすーっとかき消されていく。

最後はトマトのクーリをパプリカのジュレで包み込んで固めたもの。プチッと口の中にはじけてとろりと流れ出す。うぅ、たまらない。

泡立つシャンパーニュはそれぞれの小さな料理の隙間を埋めるべく、注がれるままに飲み干していく自分がいる。昼間のシャンパーニュはことのほか気持ちがいい。

フランス料理
心地よい後味をシャンパーニュで流す
最初の前菜は「燻製にしたフォアグラのロワイヤルとオゼイユのエキューム」。
オゼイユの持つ、きりっとした酸味とハーブの味わいに中にしっとりと溶け込むふわりとしたフォアグラの味わい。舌触りは滑らかで、口の中での広がりは例えようもない。気がつくとガラスの器はからっぽだ。ふくよかさを増すジェローム・プレヴォーが清らかな流れのごとく味わいに余韻を残す。


フランス料理
隠された醤油の風味に驚きを隠せない
「鯖のポッシェ プティバトー仕立て ヴァードゥヴァンとピキーヨ風味 ケッパーで和えた大根を添えて」という長い名前だが、見てのとおりの魚料理。しかし、鯖であって鯖と感じないのは鯖特有の脂っぽさと臭みがバランスよく抑えられ、繊細さを絵に書いたような優しい味わいが隠されていたからか。小骨一つない鯖はその下に醤油をほのかにしたためた大根と一体となる。日本料理のようであり日本料理ではないフランス料理の一つの姿がここにある。和のテイストを取り入れた料理という表現ではおよそ括りきれない新しい世界がある。

添えられたワインはアルゼンチンのもの。ゲヴェルツのような甘い味わいが五感を包み込み、醤油の味わいをきれいに消し去り、同時にほのかなフレッシュさを記憶に刻む。これにも参った。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます