フレンチ/東京のレストラン

快楽的肉料理の世界へ(マルカッサン)(2ページ目)

銀座一丁目に開店したマルカッサン。肉料理にかけては天下一品、秋山シェフの腕が唸るのなんの、食べる側にがっつんと迫る料理の世界が広がります。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

シャンパーニュ
自然派ワインも豊富に揃う

生産地も生産者も完全明記

ここの特徴はとにかく『肉』『肉』『肉』。

店の名前がまず『うり坊』、小さなカウンターの前にはイベリコの腿肉がどっかんと鎮座。メニューには骨付きポークのグリエ、蝦夷仔鹿の肩ロースの瞬間燻製、山形産オーガニック仔鳩のロースト、島根県産マルカッサン肩肉のシャルドネ煮込、茨城産ホロホロ鳥骨付腿肉のグリエ、鴨胸肉のロースト等など牛肉以外のほとんどの肉が勢ぞろい。メニューを見ているといろんな肉が群れをなして飛び出してくるようだ。


フランス料理
シンプルでちょっとだけモダン
そしてその肉の大群には一つひとつ、産地と生産者がきちんと明記されているほどのこだわりよう。いや、彼にとってはそれがあたりまえのことなのだ。さらに生産者がどういう人で、その肉がどのように生産されているのかということまできっちり押さえられている。メニューは私の誇りです、とはコートドールの斉須シェフの言葉だが、このメニューを見る限りシェフ、そしてマダムの誇りと自信がうかがえるようだ。かねてよりシェフの秋山直宏氏の肉の選び方、調理の仕方には非の打ち所はなかったが、ここ銀座の地ではさらに円熟味が加わった感がある。

しかし、寡黙なシェフはこちらが聞かない限り、その重い口をなかなか開こうとはしない。いつもにこっと笑うだけなのである。

さて料理。

フランス料理
最高級の卵はやっぱり違う
前菜に選んだ『矢部養鶏場の温泉卵とホロホロ鳥のコンソメジュレ(1260円)』
そこそこのボリュームながら飽きのこない優しい味わいのジュレに濃厚な卵がねっとりと絡みつく。ああ、舌がこの世のものとは思えない卵の味にぶるぶると震え出す。時間と共にさっぱり感が濃厚に変ってくるジュレも味覚を強く刺激し、食べても食べてもお腹が空いてくるような、動物的な感覚に襲われる。食欲は気がつかないうちにどんどん高まるのだ。


フランス料理
スモークサーモンにはないねっとり感が面白い
『富士は功刀さんの鱒の昆布〆カルパッチョのサラダ仕立て』。この鱒は必食だ。濃厚ではないがねっとりとした舌触りはいいようもない味覚を携えて舌の中で溶けていく。シャンパーニュは合田泰子セレクションのジョゼ・ミシェル。コンソメを包み込み、鱒の味わいをさらに複雑にするとてつもない組合せだ。


料理とワインはまさに一心同体!と感じる幸せな瞬間を迎える。

フランス料理
香りと味わいのバランスがいいブルゴーニュの赤ワインを
そんなマリアージュにふわっとなったところで待ってました肉料理。
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