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濃厚なソースに妥協はない |
リヨンの郷土料理をそのままに
ひとことで言うとフランスはリヨンの郷土料理である。
例えばクネル。川カマスという淡水魚を使ったはんぺんのようなものにバターをたっぷり使ったソースをかけてオーブンで焼き上げる料理を言う。ポールボキューズミュゼ、ビストロダルテミスのそれより明らかに濃厚で深い味わいだ。川カマスは日本にはいない魚なので空輸で取り寄せることになる。サラマンジェではこの料理だけのために輸入業者にオーダーを出す。仕込みに手もかかるし、原価もかなり高いにも関わらず、ここでは2500円。
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リンゴ、バナナ、レンズ豆のソースはことのほか印象に残るもの |
ブーダンノワールを出す店はアンフォールの五十嵐シェフの門下生(ブルギニオン、シュマンなど)のところくらいなのだろうか。それも小さなスプーンでアミューズとしてサービスされることが多い。しかしサラマンジェのブーダンは写真の通り豪快だ。リンゴとバナナ、そしてレンズマメをクリームで煮込んだソースは気持ちのいい驚きを持ってきてくれる。そこそこのボリュームがあるので余り空腹ではないときには要注意の一皿か。下手するとメインの前に食欲は消えうせる可能性大。この一皿は900円である。驚愕の料理。
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この季節の味わいはややさっぱり系にまとめている |
3種類の内臓の煮込み。個人的に内臓系は大好物だ。蜂の巣、仔袋、小腸などが軽やかなトマトソースと共にフォークが刺さるのを待っている。フォークよりもスプーンですくった方が早いと見るや否や気がつくと皿はもうすっからかん。内臓の軽い煮込みはいろいろなところで楽しむことができるが、サラマンジェのはどこか違う。何かが違う。大きく違う。
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夏でもこの熱さに浸りたい! |
冬のメニューにあるオニオングラタンスープ。ロオジェのシェフを勤めておられたジャック・ボリー氏は「テリーヌとオニオングラタンスープを作らせれば料理人の技量がすぐにわかるよ」と。夏の季節にはリストから外れてしまうが、だからこそ余計に恋しい料理になる。玉葱とチーズ、コンソメの香りが渾然一体となって冷えた身体にすうっと染みこむ。これは間違いなく幸せになれる料理だ。多分僕たちは本当は知らないのかも知れない、ホンモノのオニオングラタンスープを。
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バランスよくサラダと内臓達が仕込まれている |
サラダリヨネーズ。リヨンと言えばサラダ。サラダと言えばリヨンかどうかはともかく、レバーやハツなど内臓系がごっそり入った豪快な皿だ(笑)。わっはっはと笑いがこぼれるほどのリヨンの郷土料理、ひょっとしてサラマンジェと?がっているか、一心同体かどっちかに違いない。