小さなアミューズからも仕込みの丁寧さが伝わる |
牡蠣のスープに言葉を失う
ノスタルジックな内装は比較的最近改装したものと聞く。派手で、華美なものは一切なく落ち着いたというより、どちらかというといい意味での地味さが漂い、やや薄暗い照明と程よく溶け込む。それにしてもキッチンから漂う料理の香りはたまらない。店に入った途端に五感が刺激され、おなかの空き加減はぐぐっと高まる。キッチンはシェフともう一人、ホールはマダムが担当するこじんまりとしたビストロだ。3人の賢者と言う意味のトロワ・サージュとはここから来ているのだろうか。場所がわかったとしたら駅から近いし、コースでもアラカルトでも、ワインと料理を一皿二皿でも歓迎してくれるのも嬉しい、使い勝手のいい、まさに普段着のレストランか。
ランチのクイックワンプレートである「和牛の挽肉と有機野菜の重ね焼きムサカ(1050円)」は見た目よりボリュームがあり、味わいもしっかり。手抜きのない定番となっているランチプレートで、これをオーダーするランチ常連客も多いに違いない。
決して美味しそうな色合いではないが、口に含むと幸せを感じる一皿だ |
コース料理のアミューズでサービスされた小さなスモークフィッシュとリゾットも、このままボリュームをつけて前菜としてもいいくらいの味わいの深さがある。ビストロでここまでのアミューズを出されたら、それは驚きに値するだろう。
ビストロの定番だが、丁寧さは特筆モノ |
メインで選んだ大好きなクスクスは、さすがに見た目のボリューム感に乏しいものの、野菜の出汁が甘みを心地よく効かせ、アリサの程よい辛さと相まって食欲をクライマックスにもっていく。まさにビストロのメインディッシュだ。
ワインリストもビストロと言う看板を掲げる中では極めて秀逸だ。ドメーヌ・シェヴロやアラン・パレのローヌ・ヴァルヴィニエールなどをオンリストする辺り、ソムリエバッジを付けたマダムの選球眼もなかなかのもの。
個人的に大好きなだけに、これがメニューにあるとついオーダーしてしまう |
実に目立たないトロワ・サージュ。しかし、こういうレストランは自分だけの宝物にしておきたいと思う反面、もっと知ってもらいたいな、とも強く思う。地味なだけにマスコミにもほとんど出ない。だからこそ紹介し甲斐がある、と勝手ながらそう思うのである。
最後にとっておきの一皿を忘れていた。マダムの笑顔と接客の丁寧さだ。
ディナーに出かけたときに、その日に限ってマダムがお休み?を取られていてひどく落胆したことを思い出してしまった。
私が初めていただいたのがこのムサカだった。 |
東京都千代田区三崎町2-1-15
03-3262-8195
ランチ ・11:30~14:00(LO)コース1680円、2625円、3675円
ディナー ・18:00~21:30(LO) 4200円、5750円、その他季節メニューあり、アラカルトもあり。
日曜定休
JR総武線 水道橋駅東口より徒歩3分
都営地下鉄水道橋駅より徒歩5分
東京メトロ神保町駅より徒歩7分
地図