カウンター席も楽しい |
寡黙なご主人と底抜けに明るいマダム
ご主人の小野さんはいつも寡黙だ。「いいワイン、なんかないっすか」と聞くと奥のセラーからあれこれと出してきて、そのワインについて一言だけ語る。「このインポーターは信頼できます」「古典的な作り方をする生産者ですね」「日本ではマイナーですが地元ではかなりの評価です」といったようにワンフレーズにワインを全部嵌め込んでしまう言い回しは心地よかった。先日久しぶりに出掛けたのだが、路地の飲食店街は大きく様変わりしていた中、シェ・オノの看板も新しくなっていた。しかし店内は昔と変わらない、日本のビストロそのものだ。
どのメニューも一工夫加えられている |
どの料理も必ず一工夫加えられているところが、シェオノの魅力。ランチのカレーだって手抜きはない。じっくり煮込んだカレーには根強いファンが多いのはよくわかる。ちなみにランチのサラダのために用意されるドレッシングは10種類程度の野菜をオリーブオイルと共にミキサーにかけたオリジナル。
ありふれた料理だがそれだけに料理人の腕が問われる |
チーズやデザートもそこそこ充実。ご主人はランチの仕込みから多くのメニューをすべて一人で黙々とこなす。まさに職人なのである。
時間と共に街はどんどん変化する。歴史ある古い建物は新しいビルになり、モダンで小奇麗な商業施設が栄える時代になりつつある。しかし「食べて飲む」楽しい時間は決して新しいだけのところ、そして流行の中にだけあるわけではない。サラリーマン時代の一番楽しい時代を過ごした中野。楽しい思い出がたくさん詰まった飲み屋街がずっと続いてほしいと願う。
シンプルゆえに旨さが光る |
中野区中野5-53-9
03-3319-7947
ランチ :11:30~14:00(土休)
ディナー:18:00~22:00
日祝休
地図
中野にあるもう一軒お薦めは中野の住宅街で孤軍奮闘するビストロクスクス。