芸術家ではなく一料理人と彼は語る |
パリで仕事していた日本人も連れてきていることと日本で採用した優秀なスタッフに恵まれていることで今回の件については特に心配はしていない。ただし私の考えをすべてのスタッフに伝達していくという作業がある。これにはもちろん時間がかかるが、もちろん3年はかからないだろう。
『開業にあたって今はどんな心境ですか』
最初はマスコミが取り上げてくれることがレストランにとって大きなエンジンとなる。しかし重要なのは忙しく、そしてあっと言う間に3ヶ月が過ぎ去ったその後だ。あなたもレストランを経営しているならわかるだろう。(はい、おっしゃるとおりで。。。)本当に満足してくれたらまたレストランに戻ってきてくれるはずだ。さらに大切なことはお客様のクチコミだ。私はクオリティの高い料理、そしてお客様を喜ばせる情熱があればしっかりこの地でレストランをやっていくことができると信じている。最後に今回のビジネスに投資をしてくださった方々との関係を大切にしていきたいと思っている。
『話は変わって、パリで使っているボーディエのバターは東京でも使うのですか?』
おお、そんなことをよく知っているね。実はボーディエのバターはもうやめてしまったんだ。実は今は別のものを探しているんだ。
食器だけでも数十種類。覚えるのもたいへんだ。 |
いや、それは違うんだな。私の料理にフィットするものを探すことはそう簡単ではない。これは他の店と差別化するということではない。これまでにない違いが出せる新しいものを見つけたいということなんだ。ただし、料理を作るのは人間だ。作る人があって初めていろんなことが変わっていくと言えるね。
『お会いしてみるとイメージが少し違ってきているのですが』
会ってみるとイメージと違うといわれることが多いが、それは大きな問題だと思う。私はただ平凡に料理を作るという仕事に真面目に取り組んでいるということだけなんだ。それ以上もそれ以下でもない。
約90分に及ぶインタビューの中で印象に残ったことは、彼が信頼できる投資家から任せられて永くこの地でレストランを続けていくという姿勢があるということだ。そして「投資家との関係を大切にしたい」という言葉。何度も出てくる「クオリティ」という言葉。彼は芸術家でもなく、厨房のピカソでもなく、苦労を重ねてきた一人の料理人なのである。
開店後の予約状況は満席の日も多いものの、ランチタイムなどはまだ空きがあるところもあるという。レストランは逃げるわけではない。来年の桜の季節でもいいではないか。そうそう、女性はこれ以上ないくらいのお洒落をして出掛けるべきレストランであることは間違いない。
末筆ではありますが、今回のインタビューに同席いただいた通訳の稲益智恵子さんの機転の効く素晴らしい通訳のおかげでとても和んだインタビューになりましたことをこの場をお借りしてお礼を申し上げます。
■ピエール・ガニェール・ア・東京
住 所:港区南青山5-3-2 南青山スクウェア(4F、RF)
開店日:11月29日(火)
席 数:4階のメインダイニング 82席 個室が2つあり
Rfは午後はデザートカフェ、夜はワインバー
(2006年2 月~オープン予定)
料 金:メインダイニングのランチ 7,350円
メインダイニングのディナー 17,450円と26,880円
メインダイニングは禁煙、男性はジャケット着用。