フレンチ/東京のレストラン

【閉店】オープティコントワー(青山・表参道)

【閉店】ご夫婦で営む小さなフレンチ。シャンパーニュのラインナップは見ているだけで楽しくなり、料理も味わい深くそして余韻も長い。自分だけのレストランとして大切にしたい一軒です。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

シャンパン
ランスの雰囲気と青山は似ているかもしれない

ほんの少し早歩きの街に

休日の昼下がり。表参道や青山界隈を歩いているとなんとなくウキウキする。銀座とは何か違うエッジの鋭さがあって、これからいろんなものが生まれてくるような胎動を感じるというか何と言うか。街行く人はお洒落で、気持ちほんの少し早歩き。街がイイカンジで動いている気がする。

そういえば世界的な料理プロデューサー、アラン・デュカスが本腰を入れたブノワができた。連日大盛況のようだ。洗練された地中海料理という括りは日本人にはフィットするのかもしれない。パティシエのブノワ氏が作り出すティラミスの余韻がほのかに記憶を呼び戻す。あたり前に美味しいと思っていたものがブノワ氏の手にかかるとさらに美味しく感じるのは紙一重の技術の差か。それが何倍にもなってこちらに伝わってくる。

ラブランシュも休日のランチは満席、表参道の向こう側、レストランJもアンフォールも繁盛していると聞く。そして乃木坂方面に動くとPRADAのビルにはアーティスティックなフレンチ、ピエール・ガニェールのレストランが11月末の開店準備に追われている。予約受付も始まっており、季節や話題性もあって好調な滑り出しのようだ。

という表参道、青山界隈だが、老舗や話題店ばかりではない。小さいけれど実に気持ちのいいレストランがある。それが今回ご紹介するオープティコントワー。きっとランスにあるお店から取ったのだろうか、カウンターはないものの、小さな空間にシャンパーニュの香りが満ち溢れている。

近年輸入量が大幅に増大しているシャンパーニュ。昔はモエとドン・ペリニョンとヴーヴ・クリコしかなかった時代(かなり極端だが)に比べると自分で葡萄を栽培し、醸造・瓶詰まで行うレコルタン・マニピュランものが増え、ラインナップもかなりの数に上る。そう言えばシャンパーニュブティックの先駆けでもあるアニヴェルセル表参道1Fのショップでは約100種類のシャンパーニュが並び、これからの季節、隣のショコラとセットでまさに飛ぶように売れていく。かつてこの企画の立ち上げのお手伝いをした私としても、まさかここまでシャンパーニュが日本で売れるとはまったくの予想外のことであった。それも「定価=希望小売価格」で売れる数少ないお酒なのである。
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