フレンチ/東京のレストラン

【閉店】ア・ビヤント(曙橋)(2ページ目)

靖国通りの喧騒からほんのちょっと路地を入ると、ちょっとワクワクする小さな空間が待っています。丁寧に彩られた料理の満足度は意外に高く、サプライズなレストランとの出会いに感激!!

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

魚介類
繊細に仕上げられた鯒のポワレ

野菜「も」美味しい丁寧な料理

この日のランチはメインディッシュと共に煮込まれた野菜と付け合せのフレッシュな野菜がふんだんに盛られている。しかしこれはあくまでメインとなる肉や魚の引き立て役。ほっとする味わいに仕込まれた技術の高さがわかる一皿だ。単に野菜が美味しいレストランという表現が最近多いが、ここでは「野菜もおいしい」というべきだろう。煮込み野菜はフランスでは原型を留めないほど柔らかく煮込むが、日本では歯応えを意識した調理方法が主流。いわゆる「べちゃっとしていない」野菜だ。

最近出掛けた別のレストランで、野菜の旨みは溶け込んでいるのだが、どうもべちゃっとしていて物足りなく思うことがあった。それだけに、煮込んでいてもちゃんと野菜の旨みが溶け込み、なおかつ野菜も歯応えを感じる一皿は非常に嬉しい。何よりも丁寧に仕込んでさらにひと手間かけているのがちゃんとわかるからだ。

羊
味わいある野菜類がメインとなる料理をひき立てる
新鮮な野菜はあたり前のように手に入る時代になった。有機農法や自然栽培の野菜も直接手に入るルートも整備されてきた。しかし、野菜を水で洗って塩を振って業務用ドレッシングをかけるだけの野菜料理だとしたらそれは余りにもさみしい。素材を活かすということは料理人の手を介してさらに美味しくすることに他ならない。

さて、ランチだけではお腹一杯にならない予感がしたので、同時に夜のメニューの中から子羊の煮込みもオーダーした。予想通り輪郭のしっかりとした奥行のある一皿だった。

ここは20席あるかないかの小さなレストラン。店内は縦に席の配置が取られ、柔らかなトーンが印象的。昼はイエローがかった明るいトーンに、夜はベージュのシックなトーンに変わるさり気ない見せ方にちょっとしたのセンスを感じる。

辺りには飲食店もない静かな住宅地であるが、きっと近隣にお住まいになっている方にはもう十分知られているに違いない。帰りがけに厨房から覗くシェフの姿が見えた。私と同じ年のようだが、何か深い年輪を感じさせる実直な表情が印象的であった。

羊
ランチでも食べ応えある一皿
今度は夜にア・ビアント=また会いたい気分になったレストランだ。おかげでいい気分になって午後の仕事に出掛けることができた。

ア・ビヤント
東京都新宿区坂町25-13 靖国通り沿いサンクスの裏
TEL 03-3356-2121
地図
◆営業時間 11:30~14:00(LO)、18:00~22:00(LO)日曜定休
◆ランチコース 1600円~、ディナーコース4500円~
税込、サービス料なし
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます