(間髪入れず)アラン・シャペルだ。
食材の持ち味を最大限に引き出すという技術は彼から学んだ。フランス料理というものをわかり易く理解しやすく楽しめるものにした功績は素晴らしい。
■成功している弟子の共通しているコンピテンシーは?
■素材をリスペクトするということをよくおっしゃっているが、調理自体のテクニックは進化していますか、またどのように意識しています?
もちろん。食文化を学ぶこともあるが、厨房機器も大切だ。清潔感、機能的、作る料理に合わせて進化させる。グループアランデュカスでは特注のものを使う。だからメニューを作るのもそれにあわせて厨房機器も立体的に考えて作っている。
■「食」について日本に何を期待していますか。
いや、それは全てだよ。日本ほど歴史、文化、食に対して関心の高い国はない。そういった中で毎回来ることで新しいものを食べに行くのは本当に楽しみだ。今夜はお相撲さんとちゃんこ鍋を食べに行くんだ。
■日本で気になる料理人はいます?
いないね。いたとしても答えられないよ。この手の質問はよくされるが、なかなか難しいことだよね。料理は人間がつくるものだ。そしてそれは一緒に食べる人によって異なるし、その時の体調によって感じ方も変わるだろ。いいシェフ、悪いシェフなんか存在しないんだ。大事なのは真面目か、そうではないかだ。
■ベージュの料理を見ると身体を気遣う料理という印象だが。
料理人は時代を映している。胃にもたれる料理ではなく、健康を意識していかないといけない。これは今の時代の流れだと思う。モナコ、パリ、NY、東京と、都市だってどんどん変化しているよね。人の感性や流行だってそうだ。それと同じようにいつも料理は進化している。私たちの創り出す料理は創作料理ではない。過去は何があったかという伝統をしっかり理解した上で、これから何が必要かを考え、フランス料理として進化させることが大事だ。
パンガイドの清水美穂子さんとおどけるデュカス氏 |
(インタビューを終えて)
それにしてもエキサイティングな時間だった。好奇心溢れる彼の視線は鋭く、写真で観る笑顔は当然撮影用のためのもの。料理を語る表情はクールながら熱く、真剣そのものだ。しかし故郷や巣立っていった料理人の活躍の話では表情は和み、語りも饒舌になる。世界中に美食のメゾンを作り上げ、故郷には素朴なオーベルジュやカフェを展開する。パリではじめたカジュアルなサンドイッチハウスも好調なようだ。いずれに日本にも来ることだろう。
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