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ぶどう畑の土に触れて フランス★グルメ旅紀行<6>(3ページ目)

ただ「食べるためだけ」に出掛けた2月のフランス。パリ~ブルゴーニュ~リヨン~マルセイユ~バスク~ぺリゴール~リモージュと一気に駆け抜けた痛快旅日記、今号はル・モンラシエの畑そして美食のダイニングへ!!

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

ラムロワーズ
シャニーと言えばラムロワーズの町

ラムロワーズへ

初めて訪れたのは99年夏のことだ。近くに宿を取り空腹感万全の状態でラムロワーズへ。バーに案内された時からデザートが終わって夜も深まったその時まで、一人で食事をしながら実に幸せな時間だったことが鮮烈な印象となって未だ脳裏に焼き付いている。翌年も出掛けた時はホテルに宿泊、02年はジャック・ラムロワーズが来日した時のガラディナーと続く。(その時の料理はいまひとつだったが)

さて、ホテルの玄関のドアが開いたところから至福の時間のベルが鳴る。まずはバーでシャンパーニュとおつまみを。以前は黒いソファーだったが今回はベージュ。カウンターでシャンパーニュを注ぐスタッフも注文を取りに来るメートルドテルも5年前と一緒だ(あっ、同じ人だっ!!って思ってしまう)。彼は90年にラムロワーズに来たと言う。どっしりとした体格でありながら人懐っこい笑顔はとても印象的。

バー
まずはウエイティングバーで寛ぎたい
シャンパーニュはビンテージのモエ・シャンドン、ピンチョスはサーモン。
ダイニングは玄関右のメインダイニングへ。4つのフロアにそれぞれ顔があり、広々としたダイニングではなく適度な大きさの個室のような印象がプライベートな心地よさを演出している。それも限りなく自然体で。

レアでオーダーした鹿のヒレ肉のローストは滋味深く、ソースに絡めると幾重に味わいが広がり、ニュイサンジョルジュのワインも後味の余韻を果てしなく続ける第二のソースに形を換える。

ああ、なんという時間なのだろうか。

エスカルゴのラビオリ包み
エスカルゴのラビオリ包み
そう広くないダイニングがいくつかあるのだが、入れ替わりに多くのスタッフが顔を出す。それが不思議と慌しい感じではなくゆったりと自然に現れては消える。まるでコンビネーションサッカーを見ているかのようだ。DFがサイドを駆け上がり、FWに合わせてセンタリングかと思いきやディフェンダーの裏をかき背後から走り込むMFに焦点を合わせる。連携は相互の信頼感の賜物だ。料理は技術だがサービスは個性、つまり人間的魅力と相互の連携だ。

圧巻はデセール。最初のデセールはオレンジが添えられたショコラボート、次はメインデザートのパッションフルーツのスフレ、ジュース添え。次はオレンジピール、ショコラ、ゼリーなどこれでもか!!と続く。一体どこまで糖分を取らせようというのか。

デザート
パッションフルーツのジュースが見事なアクセントになっていて飽きることがない
トイレに行っている間にプティフールがきちんと整えられ、コーヒーのお代わりの香りがテーブルに漂う。

ラムロワーズは長年3つ星を守ってきたが、今年のミシュランでは2つ星に格下げ。確かにホスピタリティに溢れていても斬新な料理は少ないかも知れない。でも私はそんなことに関係なくいくらでも星をあげたい。万が一星がなくなっても私のホスピタリティの原風景はシャニーのラムロワーズにある。ラムロワーズに行くために僕はフランスにまた来たい。

Ravioli d’escargots de Buurgogne a la vapeur 26e
Filet de chevreuil sause poivrade baies d’airelles 50e
Souffle chaud fruits de la passion 15e
1/2 Nuits Saint-Georges les Murgers 1999
Domaine Bertagna 55e
1/2 Badoit 5e
Café 5e

合計 156e 

コンソメ
シェフからサービスされたコンソメ
一人客を大事にしてくれるのか、サービスで前菜を一品サービスしてくれた。そのコンソメスープの滑らかさと味わい深さを感じただけでもシャニーにまで来た甲斐があったというものだ。

続く
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