後半のヴィンテージシャンパーニュが空けられるところまで来ると、料理は寿司からフレンチへ。腕を振るうのは乃木坂の実力店、Feuのシェフ、下村浩司氏。
ブッフェパーティーの枠を超えた創造性溢れる料理とデザートピンチョスは83種類ののシャンパーニュの影でその味わいをしっかりサポートするものだ。実に見事な小皿料理だったと言える。
オリーブをシロップにつけたデザートの食感と味わい、グレープフルーツのゼリーとムースの絡み合いの感触など、繰り出されるデザートは華やかなロゼのワイン、もしくはシャープなブランドブランなどと幾十の組み合わせを楽しむことができる。
完成されたデザートとシャンパーニュの重ね併せ方に見せるさり気ないテクニック。下村氏の評判はところどころで聞いてはいたが、今日の料理を見る限り、これは絶対ディナーに行かねば!と思ったゲストは限りなく多かったに違いない。
下村氏と立ち話の流れから、その後厨房を見せてもらうことに。20数名の若い料理人がひしめく中、勝ち戦の後のような安堵の表情を垣間見ることができた。Feuのスタッフはもちろんのこと、他店からも応援を取り付けた一夜限りのプロジェクト。若い方にはきっと貴重な経験になったことだろう。
この若い料理人の皆さんが将来自分の店を持ち、フランス料理の楽しさをどんどん広げていって欲しいと願う。そしてこうしたエネルギーのある場所にいると不思議と自分にも大きな力が湧いてくる気がする。
いくら華麗なシャンパーニュでもそれだけでは完結しない。きっと満足もないだろう。心のこもった料理とのマリアージュこそがシャンパーニュをおいしく感じさせてくれるということを寿司幸の杉山氏とFeuの下村氏は静かにささやいているかのようだった。
■レストランFeu
港区南青山1-26-16
03-3479-0230
■寿司幸
銀座6-3-8
03-3571-1968
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