それにしてもサービスの味気なさはどうしたものかしら。「お薦めの一皿」の薦めかたはいかにもたくさん仕入れてしまいました!というようなことがわかる、型にはまった味気ないもの。これじゃあお薦めされても気持ちが乗らないのも仕方ないか。
ブラッスリーの看板出すのであればもっと元気よく、ラテンのノリでいって欲しい。メニューは大袈裟に両手を広げ、ワインはこれなら絶対間違いない!というふうに。
とは書いたものの、パリのような都会では、しらーっとしたサービスが幅を利かせていて、つっけんどんなギャルソンばかりではあるが。しかし、それはそれでパリっぽくもある。でもここは日本。気持ちよく帰れないとなんとなく消化に悪いような気になる。
と言ってるうちに料理がドカンドカンと音を立ててやってる。打って変わってこりゃすごいわ。肉はやっぱりデカク焼くほうが旨いのか。格闘するがごとく肉にナイフを入れ、渋いワインと口の中でマリアージュの悦に浸る。焼き加減、塩加減は私にとってはちょうどよく、ワインも進む進む進む。
このブラッスリー、否、レストラン、2人でしっとりというより4人位で出掛けてガッツンと肉料理と格闘する場所。ブルゴーニュよりも濃いボルドーやローヌの赤ワインが似合う。この頃になってくると、ここがパンで有名なVironの店ということをすっかり忘れてしまうほどだ。思い出すためにはレトロドール以外のパンも必要かもしれない。
さて、実はここまで書いてきて、このブラッスリー、いや、レストランがオールアバウトフレンチの舌の肥えた読者の皆様に本当にお薦めできるのか!?そして楽しい時間を過ごせるのか!?
肉とパンは旨かったけど、サービスは今ひとつなのか?という一言コメントにまとめてしまうのは簡単。とは言え、旨い肉を食いたい、ビールも飲みたい、サービスなんてどうもいい、こっちはこっちで勝手に盛り上がるから、というのがブラッスリーのスタイル。活気が足りないのはその日だけだったかもしれない。それなりにパリのエスプリは感じるし、ダイナミックな料理はしっかり楽しめるはず。
また2人で再訪するとしたら、肉料理を2皿頼んでワインはボルドーの若くて濃い奴で決まりか。
サブタイトルに「パンと肉料理の格闘が今始まる!」と書かせていただいたが、ひょっとして、1年くらい経つと、寝かせた肉が落ち着くように、本モノのブラッスリーに変わるかも知れない。
最後に、パンに負けるな!ブラッスリー。
■ブラッスリー・ヴィロン
渋谷区宇田川町33-8 塚田ビル2F
03-5458-1776
朝9-11時まで朝食を楽しむことができます。
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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。