札幌オリンピックで日の丸ジャンプ隊が金銀銅のメダルを独占した1972年。当時私は小学校4年生だった。楽しみと言えば朝早く学校に言って授業前の草野球。そして次は「給食」だった。

当時の給食はご飯がまだなく、角食パンが4枚もついてあとはマーガリンかジャム、そしておかず。しかしそのパンが非常にうまくない。どうしってパンってこんなにうまくないんだろうと子供ながら思っていたことを今も思い出す。だいたいにおいて1枚だけ食べてあと3枚は机の中か鞄の中。そのうち黴てくるのでよく母に怒られたものだ。

今は2004年。一昨年辺りから時代は大きく変わったと言ってもいい。日本のパンは30年と言う長い歳月を経て格段に進化し(やっと)旨くなった。うーん、今思えばあの当時のパンはパンだったのだろうか。。。

さて、今回ご紹介するVironという類稀なブーランジェリーは、渋谷東急本店の真正面に突如現れ、今や東京を代表する「パンの巡礼地」として有名になった。赤い看板が「帰りにパン、買わなきゃっ!」という気持ちを駆り立てる。

Viron、パン好きな方ならきっとご存知のはず。

最初はどんなもんだい?と思っていた私も、小麦粉からして明らかに「違うと実感できる」パンの完成度に、今はもうすっかり虜になったひとりである。その詳細は私がここで語る必要はなく、パンガイドの清水さんが驚きと愛情をもって詳細に語っている。改めてぜひご覧いただきたい。

そのVironがしばらくして2Fにブラッスリーをオープンした。

右手の階段を上がるとフロアは赤のハイバックの席が並び、いかにもパリの洒落たフレンチの風が流れているようだ。ブラッスリーと言うよりはちゃんとしたレストランに近いような気もする。

メニューは黒板に書かれた定番ものの中から選ぶのだが、それ以外にToday’s Special(おすすめ)があり、そちらの方に目が移る。料理の値段がメインの肉となると4000円前後なので、いやに高いなと思ったら、一皿で相当のボリュームがあるとのこと、嬉しいじゃなないか、こういうの。ということで、シーザーサラダとイベリコ豚のグリエ(炭火焼)、ノルウェイ産の羊鞍下肉を注文。

ワインの値段はなかなかリーズナブルだ。7000円から12000円位の間にバラエティに富んだそこそこ良質な生産者のものが揃っている。欲を言えばブラッスリーなんだからカラフや4000円位のワインもぜひ。選ぶのはかなり面白く、そして難しく、逃げるように選んだのがクローズ・エルミタージュ。決め切れなかったというのが本音だが、いつもブルゴーニュじゃ芸がないということと、たまにはスパイシーなものをということで、選んで、これが大正解(自画自賛ですいません)。