野菜の蒸し煮にしても羊のローストにしても鴨のコンフィにしても作り手の気持ちのこもった仕上がりの上、どの皿もボリュームという点から見ても申し分なし。12月に食した山鶉も濃厚なソースとジビエ特有の食感と苦味にまったりといい気分になる。
見た目こそ洗練されたものではないが、この空間ではその必要なし。ジビエの頃には山鶉、猪や鹿、青首鴨なども並ぶ。メニューを手にすると選ぶ楽しさが十分伝わってくること間違いないだろう。ワインリストもしっかり充実しており、この手のレストランでは手を抜きがちなところもない。
日常的なレストランゆえ、値段も極めてリーズナブル。そうなるとアラカルトでぜひ選びたい。ボリュームたっぷりの料理で食べ応え感は十分過ぎるほど。予算としては5000円程度のワインを飲んで二人で15000円程度だろうか。
デザートが終った頃、食材にこだわるシェフとの会話も楽しいもの。仕込みから掃除までこなすという、私のような凡人には経験したことのない「非日常」をさらりと語る。つい半年前まで一人で切り盛りしてきたシェフの料理一徹姿勢は聞き応え十分だ。
また昨年からシェフとコンビを組む工藤彩子さんのサービスには心和むに違いない。これまでの素晴らしい経歴からは感じられない、ちょっと素人っぽいが非常に魅力的な雰囲気を持つ女性である。
今年はこの二人が繰り出す料理と和みの時間には要注目か。
フレンチを日常食にしたい!と思う食いしん坊にはお薦めの一軒である。
■月夕堂
渋谷区恵比寿西1-15-2
03-5458-1087
18:00~(L.O.23:00)
月定休
山手線恵比寿駅西口よりウエンディーズ隣の路地を入り直進左。駅より徒歩3分
各種カード可
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