フレンチ/東京のビストロ

「雑然さ」と「悠然さ」と ル・デパール(代々木上原)(2ページ目)

深夜になって混みだす不思議なビストロ。一歩中に踏み込むとその雑然さに気持ちも緩みます。ただし出てくる料理にノックアウトされないよう気をつけないと、すぐに朝を迎えてしまうことになるかも。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

どでかいロールキャベツはグサッと切り分けて、でかいスプーンでぺろりと。あっさりとした食感の先には肉汁のしみたスープをすすり、食いしん坊の気持ちは天に昇り始めるかのよう。そのほっとする後味は心地よくワインで流すのも惜しいくらいの幸福感といったら言い過ぎでしょうか。

肉厚の鴨肉ローストは赤ワインがドンと効いたソースに絡めて一気に攻めたいところ。ジビエではありませんが噛み応えある良質な鴨肉を強めにローストしてあります。迎え撃つブルゴーニュワインは脂ぎった肉を流し込む究極のソースとなったところで、さてさて大人の胃袋はこの辺で大団円。更に余裕があれば、デザートというよりチーズと赤ワインでさらに余韻を深めたいものです。大皿と格闘しながら食欲が満たされていく醍醐味がしっかり楽しめること、間違いないでしょう。

ワインリストは品切れも目に付きますが、予算を言って選んでもらった方が気楽です。4000円程度から超高級ワインまで揃っています。平均的な価格帯は6000円程度。もちろんワイン一杯とおつまみといった使い方も大歓迎のようです。サービスの方のホスピタリティも申し分ありません。

日常の延長にある「雑然さ」は時として人間関係のつなぎ目を上手に解くスパイスなのでしょうか。
しかしその先にある料理はどっしりとした「悠然さ」を感じるところが驚きであり嬉しさでもあります。

帰る時間など気にしては楽しめない料理とゆるやかな空気がここにはあります。たらふく食べて飲んで朝を迎えたとしても、そのときの気分はきっといつになく爽快かも知れません。

ガツンと飲んで食って朝まで楽しむ。そんな遊びをたまにはしてみようではありませんか!

「ル・デパール」
渋谷区上原1-36-15 
代々木上原駅構内をまっすぐ突っ切ると正面に本屋があり、その右隣。
03-3468-6228
日休
★ちなみに店主のイカクラ氏は怒ったらとても恐そうな、でもとても味があり、私にとってとてもインパクトのある方です。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます