フレンチ/東京のレストラン

気品あふれるモダンな空間で至福のフレンチを。 OZAWA(白金)

白金に開店し、もう14年目。年月と共にますます光り輝くOZAWAはハレの日のフレンチに自信を持っておすすめできる一軒です。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

かつては交通の便の悪い陸の孤島と呼ばれていたが、地下鉄の駅が開通してから、今や都内でも最もおしゃれな街になった白金。今や瀟洒なマンションやカフェなどが軒を連ねるその一角に10年以上前から営業するレストランがある。

レストランOZAWA

派手な宣伝をすることもなく、シェフがメディアに出ることも少なく、ひっそりとした大人の空間は10年以上経っても大人のグルメをしっかり引きつけている。

ちょっと贅沢に、ちょっとした記念日にといったいわゆるハレの日にそれなりの大人が自信を持って訪れるべきレストラン。

オープンしたての14年前の夏、知人が主催する食事会があり、まだまだフレンチは敷居が高いなあ、などと思っていた20代半ばの私でも、その時の雰囲気と料理ははっきり記憶に残っている。外苑西通りから少し奥まったところにある階段を下りたそこは地下であることを感じさせず、余計な飾りのないモダンな空間が広がっている。完璧なまでの間接照明だ。デザインはフランスのフィリップ・スタルク。調和の本質を感じる空間がたまらなくお洒落だ。

東京スタイルのフレンチというキャッチコピーであったが、スペシャリテであるオマール海老の茶碗蒸仕立ては、なるほど東京フレンチというのはこういうものかと当時はただただ感嘆するばかりであったことを思い出す。

ただ東京スタイルのフレンチ、和風仕立てのフレンチは見た目の問題で、調理方法はれっきとしたフランス料理なのに、日本の素材の特徴ある引き立て方をするとすぐ~風のという言い方をされる。例えば和風仕立てのフレンチって何か軽々しく聞こえはしないだろうか?

このレストランの持ち味は、一つにはシンプルながら非常に寛ぎを感じる空間デザインとテーブルセッティングにある。ベンチシートでお隣の会話が聞こえるレストランが多い中、これは非常にうれしい。丸テーブルに斜めに座ると、正面から向き合わないため視線のやり場に困ることがない。コミュニケーションロジック的にも会話が途切れず親近感が増すと言われている。また階段下奥には個室スペースもある。
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