西麻布。派手なネオンや賑やかさとは縁の遠い街ですが、個性溢れる店が随所にひしめく。この界隈は今もおしゃれなバー、レストランが軒を並べています。
そんなエリアに私の大好きなレストランがあります。
西麻布の交差点から六本木方面へ歩き、左手に入った坂の途中に目立たぬ小さな看板を出す店、「エスペランス」。最高の状態の高級ワインとそれにあう素材重視の料理を出す、極めてプライベート感覚に近い店です。隠れ家的なお店と言いたいところですが、別に隠れるために行く訳じゃないのにね。でも個人的には隠れ家という言葉は嫌いです。
エスペランスには各界の著名人、成功した会社経営者、ビジネスマンが堂々と通ってきています。またとてもかっこいいミドルな女性が一人で夜中にシャンパーニュを愉しんでいるなんてこともあります。
いつも来て頂くお客様のために「ハナコ」には当然載らないし「BRIO」がいくら大人の隠れ家特集をやっても取り上げられることはありません。となると知っている人に連れていってもらわない限りたどり着くことはできません。そう意味ではまさしく「サロン」。こう書くと、とってもスノッブな敷居の高いところに思われるかもしれません。でもスノッブで結構。品格とは無縁の方々がたくさん来てしまうといいお店も悪くなります。そう、知らない人が来ることを完全に拒む、まではいかないですが、フラリと寄ったとしても最初はお互いが緊張を強いられることになるでしょう。いい緊張感を感じるかどうかはその人次第。
以前会社の後輩から、クリスマスイブの夜に彼女にしたい女性を連れて行ける良い店はないかと聞かれ、ここを紹介したことがあります。店主にその旨を伝えると「せっかくですが、うちではそのお客様のご要望にお答えする雰囲気を作ることは難しいかも知れません」と言われてしまったのです。そうだ、料理人一人、サービスは店主自ら行なうため16席すべて埋まるとサービスのレベルは極端に落ちてしまいます。
エスペランスでは混雑していて、料理やワインのサービスが遅くなっても誰も文句は言いません。みんな最高の料理とワインが出てくるのをじっとじっと待っているのです。もちろん私もそうです。
値段は高いレベルで適正価格です。ワインはグラスで3,000円位から、料理はアラカルトで一皿2,000円位から。でもワインリストもなければ料理のメニューも手書きのとてもシンプルなもの。
そこまで敷居が高そうで、来る人を拒むような店をわざわざこのコラムに書いているかといいますと、何度か通うと「必ずはまってしまう」店だからなのです。楽しめる条件はただ一つ。ウマイモノに滅茶苦茶こだわり、ワインが好きなことかな。
ネットにはほとんど出ていませんが、「ジバラン」の40位に出ています。ただしデータが古い(シェフは代わった、サービス料は今はない等)のでほんのご参考程度だと思います。
是非行ってみたいという読者の方は遠慮なく私までお問い合わせ下さい。