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今年の夏期商戦では、ゲームソフト販売本数ベスト10にニンテンドーDS用ソフトが4本もランクインしています……正直オドロキです。なんせ、発売から1年も経っていないゲーム機が、国内で1500万台以上も普及している古株のプレイステーション2(PS2)と、実力伯仲の勝負をくり広げているわけですから。
◆ 2005年夏期商戦の販売本数トップ20 ◆ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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※集計期間:5月30日~9月4日、週刊ファミ通9月30日号より抜粋。 |
……しかし!
ただ「ニンテンドーDSってスゲーじゃん!」と手放しに絶賛してはいられない一面も、上の表からは読み取れます。ベスト10以降から20位(さらには30位)までに「ニンテンドーDSのソフトが1本もないじゃん!」とは、すなわちニンテンドーDS用ソフトの売り上げに明暗が分かれている現状が垣間見えてくるのです。
任天堂社長・岩田聡氏による東京ゲームショウ2005の基調講演では、『ニンテンドッグス』や『脳を鍛える大人のDSトレーニング』などの新機軸ソフトが、女性や熟年層といった普段ゲームを遊ばない人たちにも受け入れられている実績が説明されました。(下の写真を参照)
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ニンテンドーDSの発売から、まもなく1年。『ニンテンドッグス』が発売された今年4月以降、6ヵ月連続で月間ハード販売台数のトップに君臨し、9月までに累計出荷台数は360万台を突破(メディアクリエイト調べ)。ハード1台あたりのソフト販売本数を示す「装着率」は発売当初の1.11から2.26へと倍増(ファミ通調べ。同時期のPSPは1.62から1.91への微増)しています。ハードもソフトも、ニンテンドーDSの売り上げは絶好調のようです。
さらに、「Touch! Generations」と銘打たれた新機軸のソフトたちは、発売から数ヵ月が経った現在も週間販売ランキングの上位をキープしています。とりわけ『脳を鍛える大人のDSトレーニング』は14週目にして最高の週間販売本数を記録するという、極めて異例な推移をたどっています。岩田社長曰く、「“敬老の日”需要が生じた史上初のゲームソフト」とは、まさにゲーム人口の拡大を象徴する出来事のひとつと言えるでしょう。
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……しかし!
「Touch! Generations」はいずれも任天堂ブランドの作品で、夏期商戦でベスト10入りした4本のソフトもまた、すべて任天堂ブランドであることにも着目せねばなりません。任天堂以外のソフトメーカー(サードパーティ)からも、より多彩なヒット作品が生まれうる市場へと成長できなくては、ニンテンドーDSは本当の意味での「成功」を収めたことにはならないはずです。
また、北米市場におけるニンテンドーDSは、PSPに対して日本国内ほど優勢を保っているとは言い難い状況にあります。今年8月に発売された北米版『ニンテンドッグス』は、発売から1週間で25万本以上を販売し、ニンテンドーDS本体の値下げ効果もあってハード・ソフトともに売り上げが倍増しているとのこと。日本市場と同様に『ニンテンドッグス』の登場が起爆剤となって、今後もその勢いを維持できるかどうかが注目されます。
「価値」と「可能性」を証明する───この意味では、ニンテンドーDSは確かに「成功」しています。しかし、この勢いを今後も継続できてこそ、本当の「成功」を収めることになるはずです。これからは普及の第2段階として、任天堂中心のソフト市場から、サードパーティが持ち味を活かせる市場、多彩なラインナップが勢揃いする市場へと成長させなければならないのです。
10月5日に開催された「ニンテンドーDSカンファレンス2005秋」では、ニンテンドーDSの「成功」にかかわる重要な戦略と、つぎなる新機軸のソフトラインナップが発表されました。次ページでは、ニンテンドーDSの「これから」を分析してみます!
<目次> |
◆ニンテンドーDSの「成功」は本物なのか!? 詳しく&わかりやすくニンテンドーDSをぶった斬る! |
◆ニンテンドーDSの「これまで」編 任天堂ソフトだけが売れても、真の「成功」とは言えないッ! |
◆ニンテンドーDSの「これから」編 任天堂中心のソフト市場では、真の「成功」は実現しないッ! |