1万匹が生まれ、勇者と戦い、そして死ぬ。(2ページ目)

勇者を倒す生態系

魔物は、魔物どうし、食べたり食べられたりしながら、生まれては死んでを繰り返し生態系を作っていきます。

最初に、ダンジョンを掘っていくと、緑色のコケのような魔物が生まれます。これをニジリゴケといいます。ニジリゴケは土の養分を吸い取って、別の場所にいって吐き出す、という性質があります。この性質を利用して散らばった養分を1箇所に集めていきます。

少し養分が集まりだした土からは、ガジガジムシが生まれます。ガジガジムシはニジリゴケを食べるとサナギになり、羽化し、そしてガジガジムシを産みます。たくさん養分が集まった土からは、トカゲおとこが生まれます。トカゲおとこはちょっと広い場所に巣を作り、ガジガジムシを食べて、卵を産みます。

トカゲおとこはニジリゴケやガジガジムシよりずっと強い魔物ですが、トカゲおとこばかり作っても、ガジガジムシがいなければ餓死してしまいます。そのガジガジムシは、さらにたくさんのニジリゴケがいなければ、やはり餓死してしまいます。そういう形でダンジョン内の食物連鎖の構造に気を配って、勇者を倒してくれそうな生態系を築いていくゲームなのです。

1万匹の一生

ダンジョンで生まれた魔物の数は、クリア、もしくはゲームオーバー時のRESULT画面で知ることができます。プレイによってはものの30分ほどで、1万どころか、2万匹、3万匹の魔物が誕生することだってあります。

さあ、あなたはダンジョンを掘って勇者を迎え撃つ準備をします。最初はニジリゴケをうまく誘導して養分を集め、ガジガジムシやトカゲおとこを作っていきます。勇者が登場するたび、それを倒し、その次の勇者に備えてさらにダンジョンを深く、そして複雑な地形へと掘っていきます。

勇者が使った魔法は魔分となって土にたまり、リリスやドラゴンを産みます。水源となっている土からは水があふれ、水棲の魔物が生まれるでしょう。勇者の死体はスケルトンになって魔王軍に加わります。トカゲおとこに食べられ続けたガジガジ虫が、身を守る為に突然変異を起こして毒をもったポイズンガジガジになるなんてことも。

あなたが上手にコントロールしてダンジョンをそれぞれの魔物に良い環境にしていくことができれば、魔物は魔物を食べ、魔物を産み、あっという間に数え切れない程の数が誕生します。とても1匹1匹を把握することなんてできません。でも、全ての魔物に一生があります。誕生の瞬間があって、他の魔物を食べて、成長し、子供を産み、死んでいきます。それが、いつしか1万匹。生まれ続け、死に続け、戦い続け、1万匹。

その1万匹の一生で、勇者と戦うんです。