ゲーム業界ニュース/ゲームとビジネスニュース

通勤電車のCMでゲームが売れる!(2ページ目)

ゲームをする人が多様になった今、ゲームはただ中身を宣伝するだけではなく、いつ、誰が、どんな風に楽しむかというゲームスタイルを提案していくことが大切なんです。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド


意識的にゲームスタイルを作った任天堂

WiiスポCMの図
ゲームの細かい内容よりも、ゲームを楽しむ雰囲気そのものを重視したCMが見事にあたりました。
重厚長大なゲームを、1人でじっくり携帯ゲーム機でやる、というスタイルを紹介してみましたが、逆に、手軽なゲームをみんなで楽しく据え置きゲーム機遊ぼう! というスタイルを提案して大ヒットしたのがWiiであるわけです。

WiiはWiiスポーツという、誰でも簡単にできるスポーツゲームを戦略的タイトルに位置付け、CMでは家族と、恋人と、おじいちゃんと、みんなが一緒にゲームをしている姿をこれでもか、というぐらい流しました。キャッチコピーには「Wiiのある新しい生活」ですから、まさしくゲームスタイルの提案ですね。

【関連記事】
キャッチコピーで比べる次世代ゲーム機(AllAboutゲーム業界ニュース)

実はこれはWiiにはじまったことではありません。ニンテンドー64で発売されたゼルダの伝説 時のオカリナ(以下時のオカリナ)のCMでも、ゲームスタイルを提案するCMが流れていました。ただし、この時はWiiスポーツのようなコミュニケーションツールとしてのゲームハードの提案ではなく、暗い部屋で1人でじっくりとやるようなCMでした。ああっ! くやしい! と言いつつ、もう1回! ともう一度コントローラーを握りしめるCMです。この頃はこのCMで時のオカリナは100万本を超える大ヒットとなりました。任天堂は自ら、ゲームスタイルを180度逆転させて、またもや大ヒットさせたわけです。

日本にあったゲームスタイルを提案できなかったXbox360

XboxLiveで遊ぶの図
据え置きでじっくりゲームを遊ぶのであれば、実はXbox360が今1番充実しているかもしれません。しかし、そのスタイルを広く提案しきれていないのが現状
任天堂とは対照的に、ゲームスタイルを確立できなくて苦戦しているハードがあります。マイクロソフトのXbox360です。もっとも、Xbox360というハードそのものにゲームスタイルが無いわけではありません。

特に、洋ゲーと呼ばれる海外メーカーの複雑に作りこまれたソフトが豊富にあり、さらにXboxLiveというオンラインのシステムを使いこなすことで、オンラインで繋がる実に奥深い、次世代ゲームと呼ぶに相応しい遊びを実現しています。また、ハイビジョンの精細なグラフィックがそのゲーム体験をさらにリッチなものにしています。

しかし、このスタイルは北米市場を睨んでのものなんですね。日本でにおいて、ハイビジョンのテレビで、オンラインに繋いでもらって、しかも複雑なゲームをしてもらうというのは、あまりに敷居が高いというのが現状です。それがそのままマーケットが小さくなっている原因になってしまっているようにも感じます。日本人にあった、尚且つXbox360らしいゲームスタイルの確立というものが、未だにできていないわけです。

【関連記事】
ハンバーガーは売れ、360が売れない理由(AllAboutゲーム業界ニュース)
何故Xbox360は売れないのか?(AllAboutゲーム業界ニュース)
意外と知らない? XboxLiveの魅力(AllAboutゲーム業界ニュース)

ただ面白いゲーム、凄いゲーム、新しいゲーム、だけではなく、どういう風に遊んでもらうかを提案することが、これからのゲーム事業には重要になってきます
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます