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オブリビオンとドラクエで日米RPG比較(2ページ目)

アメリカ発の人気RPGオブリビオンが発売。それは日本人にとってはドラクエやFFとは全く違う摩訶不思議なゲームでした。オブリビオンをドラクエと比較しながら、その魅力や日米のゲームの違いを考えてみます。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

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決められた行動をするキャラクター達と、自分の意思で行動するキャラクター達

逃げる泥棒の図
泥棒をするのはプレイヤーだけではありません。泥棒と警備兵の追いかけっこにでくわす、なんてことだって起こります
前項で泥棒のお話をしましたが、ドラクエでも泥棒はできますね。人の家に勝手に入って、つぼの中や棚の中を漁ることができるのは有名です。しかし、ドラクエでは住人の目の前で棚を荒らしても、壷を割っても、何も文句は言われません。それは、ドラクエに出てくるキャラクターはあらかじめ決まった行動しか起こさないようにプログラムされているからです。プレイヤーが突然変な行動をとっても、それに反応するキャラクターはいません。

オブリビオンでは、人の家に入ってテーブルの上に置いてあるものを勝手に取るとどうなるでしょうか。その家の住人は泥棒だと騒ぎだし、警備兵を呼びにいくかもしれません。警備兵に見つかれば、あなたは捕まってしまいますし、抵抗すれば斬りかかってくることもあります。

これが、オブリビオンがどんな日本のゲームとも大きく違うもうひとうの点です。オブリビオンの世界にいる1000人以上のキャラクター達は全て人工知能を持ち、自分の意思で行動しています。いつもカウンターに座っている武器屋の店主が、夜は酒を呑みに行っていることもあります。道端で大喧嘩を始めるキャラクターもいれば、山賊に襲われたあなたを助けてくれるキャラクターもいるかもしれません。そしてそれらは、プレイヤーに千差万別のゲーム体験を与えることになるのです。

物語を先に進める為のレベルと、プレイヤーキャラクターを作り上げていく為のスキル

ドラクエにおけるレベルというのは、強さです。このレベルによって、物語の進行が調節されています。強敵を倒して物語を先に進める為には、戦闘を繰り返しレベルをあげていかなくてはいけないという仕組みです。

オブリビオンにおけるレベルというのは、実は強さの意味がドラクエほどありません。というのは、勿論レベルをあげるとプレイヤーは強くなっていくのですが、プレイヤーの強さにあわせてモンスターも強くなってしまうので、ドラクエのようにレベルをあげれば新しいエリアにどんどん進める、というようにはできていないのです。そして逆に言えば、レベルをあげなくてもどんどん進んでいける、とも言えるわけですね。

では、オブリビオンのレベルは何を意味しているのでしょうか? 実はレベルより、スキルというシステムに注目すると分かります。オブリビオンでは、ドラクエのように必ずしも戦闘を繰り返してレベルアップするとは限りません。

プレイヤーは色々なスキルを磨くことで、レベルが上がっていきます。スキルの中には攻撃力が高くなったり、防御が上手になるような戦闘に関わるスキルもありますが、一方で人に見つからないように行動する隠密のスキルであるとか、上手なコミュニケーションで人と仲良くなる話術のようなスキルもあります。

どのスキルをあげていくかはプレイヤーに委ねられています。ですから、プレイヤーは自分の思うとおりに好きなスキルを上達させて、レベルをあげていきます。それは、剣術に長けた戦士を作りあげるかもしれませんし、巧みな話術で値段交渉をする天才商売人を生み出すかもしれません。

オブリビオンにおけるレベルアップとは、自身を強力にしていくだけでなく、ユーザーごとのプレイヤーキャラクターを作り上げるという意味合いが非常に強いのです。そしてそれは、やはり、それぞれのプレイヤーごとの多彩なプレイ体験を生み出していくことになるのです。

最後に、これらの要素を総括して、ドラクエとオブリビオン、そして日本とアメリカのゲームの根本的な違いについて考えていきたいと思います。
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