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結局PS3ってどうなってるの?(2ページ目)

2006年11月11日、鳴り物入りで発売されたPLAYSTATION3。発売日には大行列もできましたが、その後どうなったのでしょうか? 実は、どうやら今までに無い苦しい状況に陥っているようです。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

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商機を逃したまま、需要が落ち着く

年末商戦が終わり、正月があけると、PS3の品薄も収まってきていました。圧倒的に足りていなかった発売日から、毎週出荷を続け、需要に供給が追いついた形になります。しかし、この追いついたということ自体が大問題でした。この時点でPS3の販売台数は50万台強。対して任天堂のWiiは100万台を超え、尚も品薄状態が続いているという状況だったからです。

さあ、ここから巻き返しと行きたい所ですが、実際には手詰まりに陥ります。まず、PS3以外の商品にも言えることですが、多くの消費者は年末年始でお金を使うのでその後の消費が収まってしまうこと。そしてもう1つ、そういう状況に合わせて、ゲームソフトのリリースも年末年始に集中し、1月半ばから2月というのは緩やかになってしまうということ。ですから、ユーザーのお財布は寂しい、本体を牽引するタイトルも乏しいという状況で商機を逃したまま販売台数は落ち着いてしまい、次のチャンスを伺うような状態になってしまったんですね。

悪循環の予感

ユーザーとソフトとハードの関係の図
ユーザーも、ソフトメーカーも、どのハードが伸びていくか、慎重に見極めているわけです
ゲームというのは、ハードを持っている人がソフト販売における見込み客になります。ですからソフトを作るメーカーはできるだけたくさん普及しているハードに出したいと考えます。逆に、ユーザーからすると、面白いソフトがたくさんあることがハードを買う動機になります。これはつまり、ハードがたくさん普及すればソフトはたくさん集まるし、ソフトがたくさん集まればハードもたくさん売れるという構造になっています。

これは逆に、ハードがたくさん売れないとソフトも集まらず、ソフトがたくさん集まらないと、ハードもあまり売れないということも言えるわけです。ですから、話題性のある発売時にハードを一気に普及させて好循環を作るというのはゲームハードの販売戦略において非常に重要な位置を占めるんですね。

PS3の場合、プレイステーションシリーズの最新機ということで、最大限の注目が集まっていたにも関わらず、生産の少なさからそのチャンスを逃してしまいました。こうなると逆に悪循環に陥る可能性が出てくるわけです。

ゲームソフトの開発には、年単位の長い時間と、億単位の開発費という大きなリスクがかかることが少なくありません。開発費が高騰すると言われる次世代機ではなおさらのことです。ですから、どのメーカーも将来性的に大きく普及するハードで開発したいと考えるのは当然です。このスタートに失敗した状況によって、当然PS3へのソフト開発について慎重になるメーカーが出てくる可能性は十分にあるわけです。

次は、既にいくつかみえている、そういったメーカーの思惑についてお話したいと思います。
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