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オンラインはゲームビジネスを変えるか(2ページ目)

全ての次世代機に標準でオンライン接続機能が搭載され、PlaystationHomeなど新しいサービスも続々登場しています。試行錯誤を繰り返す家庭用ゲーム機のオンラインを利用したビジネスを考察します。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

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バーチャルコンソール 任天堂のB2Cビジネス進出

スーパーマリオをするお父さんの図
バーチャルコンソールには、昔ゲームをしていた人を呼び戻すという戦略的位置付けもあります
Wiiのオンラインサービスのもうひとつの目玉として、バーチャルコンソール(以下VC)というものがあります。これはファミコンやスーパーファミコンなど、今までに発売された家庭用ゲーム機のソフトを、オンラインでダウンロードしてWiiで遊ぶことができるというものです。

ゲームソフトをオンラインで購入してもらうということですから、これは分かりやすいですね。このビジネスのとても良い点に、過去のコンテンツを活用することで開発費がかからないということが挙げられますが、流通コストを削減できる、というところにちょっと注目したいと思うんです。これは任天堂がB2Cのビジネスを始めたということを意味します。任天堂がゲームソフトを開発して売るというのは、ユーザーに売っているのではなく、問屋さんに卸して、そこから小売店さん、そしてユーザーに渡るわけです。任天堂が直接商いをしているのは素人さんではなく商売人なので、これをBusiness to Business、略してB2Bといいます。しかし、オンラインを通して直接クレジットカードでコンテンツを販売するということになると話が違います。今度はお客さんを直接相手にするのでBusiness to Customer、つまりB2Cということになります。

今までもコナミやセガなどが、自社Webサイトでオンライン通販などを行ってはいました。しかし、強力なプラットフォームホルダーである任天堂がWiiのサービスのシステム上でB2Cのビジネスを始めるということは、それらのメーカーがそこで一斉にビジネスを展開することを意味します。事実、既に29社がバーチャルコンソールに参入しているのです。しかも、VCは2007年1月末時点でダウンロード数が150万を突破していると発表されています。ゲーム販売ビジネスの一大勢力として任天堂が参入してきたということになるわけです。

Xbox360 一括管理で課金しやすいモデルを成立

Xbox360のXboxLiveは体験版やムービーをダウンロードしたり、ユーザー間でメッセージを送ることができるシルバー会員は無料です。さらに、課金することでオンラインでの対戦や協力プレイなど、他のユーザーと一緒にオンラインゲームを楽しむことができるゴールド会員になることができます。特徴的なのは、MSが全てのユーザー情報を一括で管理し、課金もゲームに関わらず、例えばひと月分払えば1ヵ月間は全てのオンラインサービスを受けられると言う定額制の一括課金であるということです。ユーザーからすれば、ソフトごとに課金する手間が省かれますし、MSは安定的な収入源を確保しながら計画的にサービスを運営することができます。

また、任天堂のように、MSもダウンロードで直接ユーザーにコンテンツを販売しています。Xbox Live アーケードという形でVCと同じくゲームそのもをダウンロードすることもできますが、注目するべきは、パッケージソフトの追加要素でしょう。例えばキャラクターの新しいコスチューム、新しいマップ、新しいストーリーなどを追加販売しています。パッケージを買いさえすれば全てが遊べるという今までの常識になれたユーザーがどれくらい追加でお金を払ってくれるかという心配もありますが、新たな収入源として高騰する開発費を埋める意味で非常に期待される部分でもあります。

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意外と知らない? XboxLiveの魅力(AllAboutゲーム業界ニュース)

任天堂、MSとそれぞれの会社姿勢を反映したビジネスに取り組んでいますね。さて、最後にPS3の新オンラインサービス、PlaystationHomeをご紹介しましょう。
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