ゲームをしない人とゲームをする人の垣根を取り除く
多くのユーザーのブログなどでも、普段ゲームをしない人とでもWiiスポーツをやって、大いに盛り上がったと言う声がたくさんありました |
するとどうでしょう、今までゲームを全くしなかった人たちと、ずーっとゲームをし続けていたコアユーザーが一緒に遊ぶことができるのです。任天堂のプロモーション展開の狙いはそこでした。Wiiソフトの中で、Wiiスポーツの次に売れているソフトも実はゼルダではありません。はじめてのWiiというソフトです。簡単なミニゲームが9つ入っているだけのソフトですが、Wiiリモコンが一緒に同梱されています。これがWiiスポーツに並んで初週で17万本売れています。つまり、それと同じ数、Wiiリモコン単品で発売された分も考えればそれ以上に、Wiiリモコンが売れていると言えるのです。これは、誰かと遊ぶ為に買っていることに他なりません。
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これこそがまさしく、コアユーザーがWiiスポーツを買った理由なんです。ゲームを良く知っているコアユーザーと、ゲームをまるで知らない人が一緒に遊ぶことができる。任天堂はそこに狙いを定め、Wiiというハードを作りこみ、プロモーションを行い、見事パラダイムシフトを起こしました。ユーザーは誰でも簡単に、直感的に遊べるゲームで、普段ゲームをする人もしない人も、みんな一緒に楽しむという新しいゲーム体験に飛びついたのです。
ゲームが社会に受け入れられていくことが、市場を広げる
実は、Wiiはリモコン以外にも色んな人が一緒に遊ぶような仕掛けが随所に用意されています。例えば似顔絵チャンネルという機能は似顔絵のようにして自分でキャラクターを作ることができますが、ここで自分や、家族、あるいは友達のキャラクターを作っておくとWiiスポーツではそのキャラクターで遊ぶことができます。また、Wiiスポーツを遊んだ結果は自動で保存され、伝言チャンネルという機能を使うと伝言板のように誰が遊んだかすぐ分かるようになります。家族の誰かが新しく始めたとか、お父さんが一生懸命練習してるなとか、一緒にゲームをするきっかけを増やします。WiiはPLAYSTATION3やXBOX360などの他の次世代機に比べて非常に小さく、静音で、消費電力が少なくなっていますが、任天堂はそのことについて家族の誰からも疎まれることのないようにする為だということも、言っています。
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ゲームが進化して複雑化していくなかで、ゲームユーザーは時によって、ゲームの中に用意された物語の中に深く没入していきました。それもまた素晴らしい感動をもたらすものでしたが、一方でゲーマーと呼ばれる人たちがゲームをしない人たちと体験を共有できなくなりました。ゲームというものが多くの人の理解を得られないということは、ゲームをやる人にとっていいことではありません。例えば何も関係のない犯罪や事件が安易にゲームと結び付けられることがままあるように思うのですが、それはゲームをする人とゲームをしない人とのコミュニケーションの断絶が起因しているとは言えないでしょうか?
Wiiというハードはゲームをする人とゲームをしない人の垣根を取り除き、一緒にゲームをしてもらうことが出来ます。その為の新しい遊びであり、分かりやすさであり、様々なサービスと機能を備えています。ゲームという娯楽が社会の中で敵を作らずみんなの中に入っていける、そうなった時にゲームは一部の人のものではなくなり、結果的に新しい市場を開拓することになる、そんなビジョンを任天堂は持っているのではないでしょうか。