パラダイムシフトってなんだ?

パラダイムシフトを説明する岩田氏の図
パラダイムシフトという言葉は任天堂社長の岩田氏から、Wiiのコンセプトを説明する時にたびたび聞かれた言葉でした
パラダイムシフトという言葉を聞いたことがあるでしょうか?実はこれ、Wiiのテーマと言われる言葉なんです。2006年12月2日に発売され、即日完売、新年が明けた今でも品薄のWiiですが、そのヒットの秘密にパラダイムシフトという言葉が深く関わっています。この言葉が何を意味するのか? Wiiは何故ヒットしたのか? そこから分かる任天堂の戦略とゲーム業界に起きている変革について考えてみたいと思います。

一番最初にWiiのテーマとしてこの言葉が挙げられたのは今から2年前、2005年1月13日の京都新聞に掲載された新春トップインタビューという記事の中で、岩田氏の発言によるものでした。DSのキーワードは異質な商品だったが、Wii(記事中はレボリューション)のキーワードは遊びのパラダイムシフトであるという発言です。

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パラダイムシフトという言葉そのものの意味を説明しますと、パラダイムが枠組みという意味で、枠組みがシフトする、つまり既成の枠組みが変わるというような意味を持ちます。例えば18世紀頃にヨーロッパで起こった産業革命、蒸気機関が発明され工業化が進んで産業のあり方がそれまでの手工業中心の延長線上にあるものではなく、全く新しい形になってしまいました。このような現象をパラダイムシフトと呼びます。岩田氏はWiiで同じような現象を起こそうというのでしょうか? 枠組みが変わるとすればそれは果たしてどのように変わるのでしょうか?

処理性能至上主義からの脱却

パラダイムシフトという言葉は、2006年6月7日に行われた任天堂の経営方針説明会で再び聞かれました。ニンテンドーDS(以下DS)がタッチパネルや音声入力などを使ったを鍛えるゲームや、あるいは犬を飼うゲームなどで高年齢層や女性層に受け入れられて市場が広がったということを背景に、携帯ゲーム機では既にパラダイムシフトが起きているという論調でした。

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今までのゲーム機が進化していく歴史は性能向上の歴史でもありました。しかしニンテンドーDSはCPUなどコンピューターとしての処理性能追求よりも、タッチパネルなどの異質なデバイスでお客さんに新しいゲーム体験を提供するという方向性を選びました。当時のDSの販売数は約850万台、DSと同時期に発売された高性能な携帯ゲーム機であるPSPが約350万台であることを考えると、この戦略は成功したと言ってよいでしょう。そしてWiiでも処理性能の追求ではなく、リモコン型のコントローラーで新しいゲーム体験を提供すると謳いました。

処理性能追求ではない、リモコンを使った新しいゲーム体験とはなんだったのでしょう? そしてそれはユーザーに受け入れられていったのでしょうか?答えはWiiのソフトが示してくれました。