風邪をひかない最終チェックポイント
体調を崩すことと走り過ぎが直前1ヶ月間にもっとも注意するべきポイント。少し着込んで体の動きを妨げるぐらいにしてのランが、走り過ぎを予防するひとつの手段 |
1、風邪を引きにくい体質化をはかる
・感染に強い免疫力は、睡眠中に高まります。十分に睡眠時間をとりましょう。手足をゆっくり伸ばして寝てください。電気毛布や電気シーツは体を乾燥させすぎてしまう恐れがあるので、温度設定に気を遣うのと、就寝中に体が乾きすぎないように水分補給を忘れずに
・細胞を防御するには、十分なビタミンCとタンパク質、それに多少の脂肪分が必要です。ダイエットは手っ取り早いタイムアップの方法ですが、食事コントロールによるダイエットはもう切り上げて、食事の内容を変えましょう。特にビタミンCはミカンが出回っているときでもあるのでたっぷりと摂ります。コマツナなど冬野菜もビタミンCは豊富です。おやつにサツマイモやイチゴ、キウイなどの果物もどうぞ。タンパク質は、魚、肉、卵、牛乳などさまざまな食材から摂りましょう。これらの食材を摂っていれば、必要な脂肪分も一緒に摂れるでしょう
2、風邪を引きにくい生活環境を作る
・寒さと乾燥はノーグッドですから、暖房する一方で加湿器などで室内の湿気を保ってください。加湿器がなくても電気ポットなどを使用していれば、一般的な広さの部屋でしたら湿度を得るには十分です
・事務所など人口密度が高かったり、さまざまな人が出入りする部屋でしたら、部屋の空気の入れ替えをしましょう。1日のうちでも温かい昼下がりにでもするといいのですが、同僚や上司からは冷たい目で見られるかもしれませんね。彼らの健康も守れるのですから、なんとか説得しましょう。それが無理ならエアフィルターなどを利用する方法もあります
・感染者はどこにでもいます。彼らは遠慮会釈なくウイルスを撒き散らします。せめてマスクでもしてくれたらいいんですが……。これに対抗するには、「混んだ場所には行かない」。この一手です。もう大会までは無用に電車に乗らない、映画館やスーパー、デパートなどは避ける駅の中はそそくさと通過しましょう
3、自己防衛態勢を固める
・練習などで汗をかいたら、一刻も早く着替えて保温に努めます。練習後の入浴もなるべく早くします。汗に含まれる老廃物が皮膚に残っていると、皮膚を傷めます。またそれらの老廃物(そのうちの多くは塩ですが)は湿気を保つ働きがありますから、皮膚の表面に無用の湿気が保たれ、体を冷やすもとになります
・体の中からの保温にも務めます。日本人は冬にも冷たいもの(冷やした飲み物、生野菜、刺身など)を食べていますが、体の細胞は36.5度という適温が好きで、その体温の時に最高に働いてくれるのです。したがって、保温は服装だけではなく、食べ物からもするのです。中医学では、食べ物にも寒熱の性質があるとされます。たとえば、水は寒性です。アルコールは熱性です。ウリ類は寒性ですが、辛子類は熱性です。寒いからといって熱性の食べ物ばかり食べていても、体が熱性に変わって悪影響があるのですが、体を冷やしてしまっても内臓がちゃんと働いてくれなくなります。体を冷やすものは避けて、後はさまざまな食材をまんべんなく食べるようにしてください
・マスク、マフラー、手袋をします。他からの感染に対してマスクの効用はほとんどないそうですが、保湿という意味では効果があります。ランナーにとって肺に湿気を保つことは重要です。熱中症患者に対しては動脈が通る襟元を冷やすのが応急措置です。それだけに襟元が寒いと体中が冷えてきます。マフラーや手袋は、なるべく素肌を外気にさらさず保温するための小道具です
・それでも外出すれば、細菌は手に付きます。ノドに取り付きます。そこで、外出から帰ったら必ず手洗いとうがいをしましょう。ウイルスは粘膜から侵入しやすいですから、目の粘膜も要注意です。コンタクトレンズの装着時など、席捲を使いよくよくきれいに手を洗ってください
かかったかなと思ったら一刻を争え
病気はなんでも早期発見早期治療が大事です。ごく初期に手当てしてしまえば、それで終わりです。記録への影響も最小限にとどめることができるでしょう。背中がブルブルっときたら、ノドに少しでも痛みや違和感を感じたら早めに対処です。一般的には体を温めること。風に当たらないことといってもいいでしょう。風邪の症状は、手当が早ければ早いほど軽く済ますことができます。医者に行く暇があったら即自分で対処すればずっと軽く済ませられます。その対処法も難しくありません。ガンでは、自分で症状を発見しても何もできませんが、風邪ならなんとかなります。
風邪の種類は大きく分けて4つある
■赤い風邪便宜的に「赤い風邪」と呼びますが、発熱型の風邪です。ノドが腫れたり38度以上の熱が出たりします。おしっこは黄色く、鼻水も黄色くて粘りけがあるといったタイプです。こんな場合は、抗菌作用がある薬と解熱効果のある薬を使います。中医学では銀翹解毒片など金銀花や連翹、羚羊角ほかの生薬で成った天津感冒片などがあります。
■青い風邪
発熱はあまりなく、それよりも寒気がするような風邪です。練習後着替えが遅れて体がぶるっとするというような状態は、青い風邪の入口にいるといっていいでしょう。おしっこは透明です。風邪の症状に進むと水鼻がとめどなく出てきて辟易します。脱力感や肩のこり、筋肉痛などを訴えるときもあります。
上記の症状にぴったりの漢方薬は有名な葛根湯です。ただし、葛根湯には、麻黄というドーピングの対象になる生薬が含まれています。エリートアスリートは飲まないようにしてください。葛根湯が飲めなくても食べ物で対処できます。葛湯や生姜湯などで体を温めます。吸収の良いスポーツドリンクを飲んでおき、体を発熱させて汗を噴き出させるという治療法です。
■黄色い風邪
青い風邪が一段落した後にもズルズルと症状が残ってしまうことがあります。特に鼻炎症状を呈すると厄介です。後鼻漏がノドを傷め、鼻づまりでノドが痛い、なんていうことになります。これには、蒼耳子や金銀花から成った鼻淵丸などを使います。
■体質虚弱型
花粉症や夏風邪にかかりやすいなど、体質的に外部からの攻撃に弱々しいというタイプ。食事や生活環境も含め全面的に見直す必要があります。中医学では、体の外からの刺激に対して体を守る作用「衛気」(えき)を強化しようとします。漢方生薬の中でも王様といわれる「黄耆」を主薬にした玉塀風散なんていうのがあります。中国では一番に選択される風邪薬で、花粉症にも強い体質作りに応用されます。
以上、あと1ヶ月、ぬかりない対策をお願いします。
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