ジョギング・マラソン/東京マラソン徹底解説&レポート

まだ間に合う!東京マラソン最終1ヶ月対策(2ページ目)

東京マラソンまで残り1ヶ月余となりました。すでに最後の仕上げの段階に入っている方も、思うように練習こなせず焦りを感じている人もいるでしょう。どんな方にもすすめたい残り1ヶ月の走力アップ法です。

谷中 博史

執筆者:谷中 博史

ジョギング・マラソンガイド

直前1ヶ月マラソン最大の敵は「風邪」

冬野菜はビタミン、ミネラルが豊富
冬は青物野菜の季節。瑞々しい菜類は、地中からたっぷり栄養分を吸い取り、まぶしい日差しを受けて育つ。風邪の予防に役立つビタミンCやランナーに必須の鉄分などミネラル類の含有も多い
東京マラソン開催時期は、インフルエンザ・風邪の季節です。とりあえず大会までマラソンランナーにとって厄介な病気、風邪を予防してください(まあ、その後も予防を続けて欲しいですが……)。

インフルエンザや風邪は、ウイルスが原因です。風邪という病名はなく、寒気、発熱、鼻水、咳、のど痛、だるさ、筋肉痛などといった個別症状の症候群といっていいでしょう。

ランナーに対して風邪が与える最大のダメージは、呼吸機能が侵されることです。マラソンランナーにとってより多くの酸素の吸収は重大事ですから、風邪をひくと走力の低下につながります。今年の箱根駅伝で9区に区間新記録を出した亜細亜大学の岡田監督は、「12月以降に風邪を引いた部員はメンバーから外す」といったそうです。

風邪の症状は消えてもダメージは1ヶ月以上残る

風邪の症状は、おとなしくしていれば一般に発症から5日程度で回復してきます。鼻水や鼻水が咽に落ちて生じる痰などが続くことがありますが、それは局部的なものであり、鼻さえ清潔に保ちうがい薬でうがいをするようにしていれば徐々に回復します。しかし、鼻づまりの症状が残れば持久力に影響します。さらに軽度でも、一度気管支や肺に炎症を起こすと、表面的な症状は治まって回復しているように思えても呼吸機能は完全には回復していません。私自身、回復したと思ってレースに出てはぶり返す、という経験を2度ほどしています。

皮膚は内臓の鏡

高校駅伝強豪校で日常の健康維持に「乾布摩擦」を取り入れているチームがあります。実は、中医学では皮膚は内臓の鏡とも言われているのです。中医学では、呼吸機能全般を指して「肺」(現代医学でいう肺臓も含まれますが、もっと広い概念です)といいますが、それには「肺臓」だけでなく「気管支」も「鼻」も「皮膚」の機能も含まれます。

寒いとき鳥肌が立ちますが、鳥肌は、皮膚の発汗場所である汗腺をぎゅっと引き締めて発汗や放熱を防ぐ現象です。皮膚が弱ければ環境の変化に対する能力が低下し、外からの刺激に影響を受けやすくなるわけです。

何がなくとも絶対に風邪をひかないように!

あと幾つか、この時期はランナーにとって悪い条件があります。完走だけが目標の人でなければ、多少は走り込んで以前に比べ体脂肪も減っているでしょう。皮膚をつまめばまるで、筋肉に薄い膜が貼り付いているようになっていることと思います。こんな低体脂肪の状態ってとても風邪をひきやすいんです。といって体脂肪を増やしてしまうわけにいきませんもんね。

冬の寒さと乾燥もノーグッドです。風邪やインフルエンザのウイルスは、低温と乾燥が好きなんです。ランナーはランニング中に激しく呼吸しますが、吸い込む空気は冷たく乾燥しており、吐き出す呼気は気体だけでなく体内の湿気も吐き出してしまっています。肺の中はますます乾燥してしまうというわけです。

生活環境も条件が悪くなります。その最も悪い条件が換気の少ない部屋です。寒いために窓やドアもあまり開けなくなります。機密度を増した部屋の中に、他の季節よりもずっと多い風邪・インフルエンザ患者と同居するわけです。混んだ電車なんて最悪ですね。

風邪をひいてしまえば、これまでに積み重ねてきた練習の成果も、5倍の競争率を切り抜けた幸運も、わずかな不注意で無に帰します。なにはともあれ大会が終わるまでは、風邪をひかない生活を送ってください(大会が終わっても風邪を引かない習慣を継続してくださいよ)。
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