ジョギング・マラソン/ジョギング・マラソンの走り方、トレーニング

市民ランナーこそ、格好のいいフォームで!(3ページ目)

良いフォームは、「健康」「スタミナ」「シューズ」を長持ちさせます。脂質と環境に恵まれない市民ランナーこそ、お金も時間も不要なランニングの武器、「良いフォーム」を身につけるべきだと思いますよ。

谷中 博史

執筆者:谷中 博史

ジョギング・マラソンガイド

軸をぶらせない

キックや足の運びの動きを無駄なく発揮するには、反発力を受け止める支点が必要になります。右足を振りだす時には、接地している左足が支点になります。では、腕振りは? これは体幹になります。ぶれないように頭もグラグラさせないことです。ポーラ・ラドクリフ選手はぐらついているようですが、彼女の場合は頭を前後に振幅させて、走る反動に利用しているだけです。体幹がしっかりしていることは、走る姿を見ればすぐにおわかりになるでしょう。

支点がしっかりすることによって、しっかりとスムーズに腕が振れ、足も振り出せます。

酸素を取りこむフォーム

馬の鼻
このくらいの鼻の穴があれば、強制ターボのようにパワフルだけど…
歩幅が広がりピッチが早まればスピードは上がりますが、余計にエネルギーを消費します。エネルギーを供給するためには体脂肪を燃焼させますが、その際に酸素を必要とします。

競走馬として特化されたサラブレッドの体の構造は、酸素を大量に取り込めるように実にうまくできているのですが(走りだすと鼻の穴が広がるとか)、ヒトはそのような進化は遂げていません。しかし、少しでもたくさんの酸素を取りこめるフォームを心がけてください。

ヒトの場合、呼吸するとどうなるでしょうか。

鼻、ないし口から取りこまれた空気は気管支を通過し、肺に達します。そこで肺ほうを介して酸素を渡し二酸化炭素を受け取ります。吸気するとき肺は大きく膨らみます。その際、ヒトは肋骨があるので肺は横隔膜を押し下げて下に膨らみます。その分だけお腹が膨らみます。腹式呼吸というものです。

たくさん空気を取りこむには、吸気の時はお腹をそらせ、排気のときはお腹を圧迫すればいいのですが、直立しているヒトの場合にこれをすると、呼吸のたびに体を屈伸させなければならず、呼吸はよいとしても、腹筋、背筋がすぐに疲れてしまうでしょう(ポーラ・ラドクリフのフォームはそれにちょっと近いような気がします)。

幸いにお腹の皮は膨らませたり凹ませたりできるので、体が直立さえしていれば、屈伸させずとも腹式呼吸でなんとかしのげます。しかし、体が屈曲したままですとお腹を圧迫してしまうので、大きく吸いこむことができません。次第に苦しくなってきます。

つまり、呼吸のために良いフォームとは前屈しないフォームです。よいフォームの説明として、よく言われるのは、「おへそのあたりを引っ張られて走るイメージ」ということです。それが前屈しないフォームです。そうはいっても、疲労が増大してくると、うつむきかげんになり、腰から折れ曲がったフォームになってしまいます。これは腹筋、背筋が弱いためですから、腹筋、背筋の筋トレをしてください。足を出すためにも腹筋は必要なのですが、呼吸も楽になってくるのです。

リラックスすると呼吸が大きく深くなる

ヒトが1回の呼吸で肺の中の空気を、外気と入れ替えられる量は、60%程度だそうです。これを65%にも、70%にもできればそれだけ楽に走れます。中国医学では、「気」はエネルギーとほぼ同義です。エネルギーを取りこんで全身にめぐらせようというのが気功の一つの意義ですが、西洋医学的にも空気-酸素はエネルギーを生成するためになくてはならないものです。空気を取りこむために気功に親しむのも役に立ちます。

大きく深く呼吸するコツの一つはリラックスです。ヒトは緊張していると呼吸が浅くなります。緊張が解けると思わず、は~っとため息をつきますが、緊張による酸素不足を補おうとして思わず出る動作なのです。ランニングでも同じです。練習のときはそうでもないですが、重要なレースとなると緊張してしまう選手がいます。そん時は手足をぶらつかせたりしてみるのもよいでしょう。そういう動作は、筋肉や関節の緊張だけでなく、肺の働きもリラックスさせるためなのだと意識して、同時に深く呼吸をしてみてください。走り出す前に、深呼吸を繰り返して気の巡りをよくしておいてやるのもよいでしょう。

記録を伸ばすためには、さらに細かいチェックが必要ですが、ランニング初心者としては以上で十分でしょう。よいフォームのランナーは、見ていても気持ちがよいものです。形だけは一流ランナーを目指しましょう。

今回のポイント
  • 腕は振っても肩は振らない。
  • OX脚は矯正、足を長く使う。
  • 呼吸を深くスムーズに。



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