パターのインパクトロフトとは?
「SAM パットラボ」で解析したパターのインパクトロフト。※クリックすると拡大します |
例えば、計測方法によってもロフト角の数値は変わります。ソールを基準にして計測する場合が多いですが、パターのソールは微妙な傾斜がついている場合があるので、単純に比較できない面があります。デーブ・ペルツ博士は「パターの本当のロフト角は、クラブフェイスとシャフトとの角度である」(前出『パッティングの科学』)と定義づけています。
オデッセイやナイキ、ピンなどの大手ゴルフメーカーの開発で使用されている超音波測定器を応用したパッティングの分析システム「SAM パットラボ」を用いると、インパクトロフトの関係は良くわかります(「SAM パットラボ」については、オデッセイパットラボで体験!パター選びで、詳細に紹介しているので、是非ご参照ください)。
まず、パターが本来持つロフト角があります。そして、グリップ位置によって、そのロフトが変わります。ハンドファーストに打てばロフト角は減り、ヘッドファーストにするとロフト角は増えます。パターのロフト角とシャフトの傾きによって、実際のインパクトロフトが決まります。
さらにストロークの軌道によっても変化します。アッパーブローといって、上向きのストロークでインパクトするとロフトは増える傾向に。ダウンブローで下に向けるようなストロークだと、インパクト時のロフト角は減る傾向になります。
「SAM パットラボ」を開発したサイエンス&モーション社の蓄積しているツアープロのパッティングストロークのデータによれば、ほとんどすべてのプロが、2度から4度アッパーブローでインパクトしているという統計が出ています。
例をあげてみましょう。例えばパターのロフト角が3度。シャフトの傾きが、1.1度のヘッドファーストだと、インパクト時のロフト角は4.1度。1.2度のアッパーブローで打つと仮定すると、単純な足し算ではインパクトロフトは5.3度というわけです。ヘッドのスピードや重さ、フェース面の硬さになど複数の要素によって、想定される打ち出し角は変わります。この場合での想定される打ち出し角は、「SAM パットラボ」によると3.5度になります。
パッティングで距離感を出すためには、ただエネルギー効率がよかったり、オーバースピンがかかって転がりが良いだけでは不十分です。ショートすることも転がりすぎるもなく、自分が打ちたい距離を打てるパターが良いパターといえます。つまり、ロフトが多いほうが良い、少ないほうがいいと考えるよりも、パターと自分のストロークの組み合わせで、より思った距離感を出せるパターを選ぶこと、それが重要になるのです。
流行のロフト角が大きめのパターは、ハンドファーストの度合いが強いゴルファー、ダウンブローのヘッド軌道になっているゴルファー、緩まずにしっかり打ちたいゴルファーなどに好相性だと思います。あくまでも自分のパッティングスタイルを見極めて選択するのが、多ロフトパターを使いこなす鍵になります。
「SAM パットラボ」のようなパッティング計測は、そうしたパター選びの客観的な指標になるでしょう。
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