ゴルフ/ゴルフクラブ・用品の選び方

ゴルファーのためのウェッジ選び3(2ページ目)

ウェッジについて考えるゴルフ特集の3回目。これまでの総まとめとして、ウェッジの選び方のポイントを解説します。あまり知られることのない製造過程についてもマニアックに紹介。

児山 和弘

執筆者:児山 和弘

ゴルフガイド

無視できない重量などの誤差

プログラインド仕様のウェッジ「TOURSTAGE X-WEDGE901」。ウェッジの性能は研磨工程で大きな差が出るため、熟練工による作業の付加価値は高い
研磨作業中、ゴルフクラブのヘッドは120度を超えるといいます。手作業での作業は過酷で、日本国内ではなかなか労働力の確保が難しいよう。職人さんの高齢化も大きな問題です。メーカーの多くは、こうした作業を中国やベトナム、タイなど国外で製造していますが、技術レベルの確保も大きな問題になっています。熟練を要する仕事なので、短期間ではなかなか技術レベルが向上せず、また、ある程度のレベルに達するとライバル工場からの引き抜きなどがあり、職人を定着させるのがなかなか大変とか。

プロゴルファーなどに支給するクラブは多くの場合、熟練工によって製作作業が行われます。したがって見た目は同じように見えても品質に差がある事は十分に考えられます。昨年末にブリヂストンでは、プロ用ヘッドの専用研磨ラインを使用したプログラインド仕様のウェッジ「TOURSTAGE X-WEDGE901」を限定生産品として販売しましたが、それは通常モデルに比べると約40%高額な価格設定でした。クラブの性能は研磨工程によるところが大きいため、熟練工にはそれだけの付加価値があるということだと思います。

もっとも、熟練した職人さんが製作するものが、いつも優れているとも限りません。熟練工の手作業による研磨を売りにした国産ウェッジでさえ、プラスマイナス5gの誤差が出ると公表しているケースもあるほど。プラスマイナス5gとは、最大で10gの誤差が出る可能性があります。

例えば、AWとSWをシャフト長・重量同じ、グリップ重量同じで、2本製作したとします。そこでヘッド重量の誤差が10g近くあれば、もう同じ感覚で打つことは難しいといわざるを得ません。同じモデルでウェッジを揃えてもこうした誤差で、まるで別モデルのようになったクラブを使用しているケースは少なくないのです。

研磨を手作業で行うケースが多い以上、どうしても製品上の誤差は出る可能性があります。こうした誤差は、ヘッドの顔、ソールの形状などにも表れ、微妙な形状の違いとなって現れる可能性があります。質の悪いものの中にはソールが波打っていたりするものもあります。重量は測れば判別可能ですが、形状の差異はなかなかわかりにくいもの。

ちなみに高精度なものを売り物にするクラブもあります。本当に高精度に仕上げられたウェッジは、輪郭がはっきりしています。しかし、高度な技術を持った職人さんの手作業によるものは、高価になる場合がほとんど。生産量も少なく自分の望むものを手に入れるには、それなりの手間と費用がかかりそうです。私見ですが、クラブは気にしすぎるとかえってプレー中落ち着かないもの。弘法筆を選ばずとも言いますし、過度に神経質になるのは禁物です。

しかし、より上を目指すゴルファーは、いつか自分の血が通うようなウェッジを手にしたいもの。費用をかけられない場合でも、購入時はそれなりのこだわりを持ち、同じモデル何本かから気に入ったものを選ぶなど、自分だけの一本を持つ努力をしたいものです。

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