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シャローフェースへと進む最新ドライバー(4ページ目)

ヘッド体積の大型化に連動するように、ディープフェースの度合いを強めてきたチタンドライバーの歴史に遂に変化が。シャロー化のはじまった最新ドライバーの傾向を解説します。

児山 和弘

執筆者:児山 和弘

ゴルフガイド

最新モデルの動向

「ツアーステージV-iQ」のヘッド形状を前作と比較したもの。ヘッド後方部の形状に違いが…
ガイドは、ゴルフショップを運営しているのですが、今年になって発売されたモデルを構えて見るとその形状の変化に改めて驚かされます。

代表的なのが今年一番の人気モデル、ダンロップの「ザ・ゼクシオ」。フェースはシャローになり、その分フランジと呼ばれるヘッド後方部に大きくボリュームを持たせ、構えたときに大きく見えるように変化しています。前モデルに比べるとかなり“丸”に近くなった印象です。

「ザ・ゼクシオ」のライバルといえるブリヂストンスポーツ「ツアーステージ V-iQ」もトゥよりのヘッド後方が大きく張り出しています。マグレガーの「MACTEC NV-NXR」は、どちらかといえば縦に長い印象のあった「MACTEC」のイメージを覆し、三角形状といってもいいほどフランジが大きくなっています。

ドライバーの伝統的な形状は、一般的に“洋ナシ型”と言われます。ヘッドの描く独特の曲線が洋ナシに似ているから名づけられたものですが、今年のモデルに関しては素直に“洋ナシ型”と形容できそうなモデルはほとんどありません。テーラーメイドの「r7 CGB MAX」やナイキの「サスクワッチ SUMO2 5900」のようにはっきりした三角形状や四角形状ではなくても、後方に張り出した大ぶりに見えるドライバーは最早主流といえるでしょう。もちろんヘッド体積はほとんど変わらないので、フェース厚は必然的に前モデルに比べシャローになります。

もちろんそうしたトレンドを意識しながらも伝統的なドライバーの形状に近いモデルも存在します。ダイワ「ONOFF(オノフ)」やヨネックス「サイバースター 450D」、ピン「G10」などはその代表です。

多くのゴルファーは、”顔“と呼ばれるクラブの見た目を非常に重視します。それが安心感やターゲットラインのイメージしやすさにつながり、ショットの成否を左右するからです。これは心理的な要素も含んでいるので、伝統的な”洋ナシ型“を好むゴルファーも依然として多いでしょう。

SLEルール施行に加え、ヘッド体積が460cc、ヘッドの慣性モーメントも5900g・cm2と明確なルール規制がスタートした2008年。恐らくドライバーの進化の傾向は過渡期を迎えており、今後は、慣性モーメントの大型化を重視した異形なモデルと、伝統的な形状を意識したモデルに二極化するのではないかと予測されます。

ナイキゴルフでは、すでにルール基準値を大きくオーバーする7000g・cm2近くまで慣性モーメントを大きくした試作品を製作しているといいます。テクノロジーの進化が際限なく進んでいく中で、人間の感性といかに整合するかが今後のドライバーの鍵になるでしょう。物理的な性能がいくら向上しても、ゴルファーに支持されるかは別問題だからです。



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