ドライバーは再び長尺化へ
この10年間で、PGAツアーのドライバー平均飛距離は30ヤードも伸びており、現在も伸び続けていますが、こうした目覚しいゴルフクラブの進化にも時期によってそれぞれに特徴を見ることができます。ドライバーの飛距離アップには何といっても長尺化が有効でした。長尺とは通常より長いシャフトを使用することです。シャフトが長ければそれだけヘッドスピードを上げやすくなります。スチールシャフトを使用していた20年前は、43.5インチがドライバーの標準でしたが、チタンドライバーの登場でヘッドが大きくなると徐々にシャフトを長くしたものが主流となります。
98~99年には48インチクラスの“超“長尺が発売されブームとなりましたが、その長さをもてあまし、振り切れなかったり、タイミングが合わないゴルファーが続出しブームも下火に終わりました。
2000年あたりから高反発フェースのドライバーが脚光を浴び始め、クラブメーカーは、シャフトの長尺化に頼らない飛距離アップを目指すようになりました。キャロウェイの「ERC」やヨネックスの「サイバースター3000」などはルールをオーバーしていることを敢えてセールスポイントにすることで人気を得ました。こうしたルールをオーバーしたモデルやテーラーメイドの「R300」のように、ルールをオーバーしたモデルとルール適合モデルの2タイプをラインナップするようなクラブの存在は、かえってユーザーに高反発への関心を高めたと思います。
こうした高反発ドライバーの隆盛は、2008年に世界的に高反発ドライバーが規制されることが決まったことで歯止めがかかり、現在は再び長尺化への傾向が見受けられます。
44インチ・45インチが長尺といわれた10数年前から比べると、ヘッド体積は200cc以上、約2倍の大きさにまで拡大しています。ヘッド体積が拡大したことは以前よりもずっとシャフトの長いドライバーを扱いやすくなったことを意味しています。それに加え、かつての“超“長尺ブームの失敗も踏まえて、メーカーは重量やバランスに配慮し振りぬきやすさを向上させており、今後もこの長尺化の傾向は進むものと考えられます。
次代のトレンドは、“広反発”?
テーラーメイドの逆円錐形フェース「インバーテッド・コーン・テクノロジー」。オフセンターヒット時の飛距離ロスを軽減 |
ここ1・2年で、クラブに関しては保守的なアメリカのツアープロが、続々と460ccクラスの大型チタンドライバーを使用し、その恩恵を受けていることを考えると、デカヘッドへの拒否反応は克服して早く慣れてしまったほうが良いでしょう。スイートエリアが大きくなることは、ミスヒットに強くなるので、プロよりむしろ一般的なアマチュアゴルファーのほうが良い結果が出ると思われます。