PRIDE:二つのトーナメントで地道にファンの求心力を
一方、「お祭り競争」では「Dynamite!!」に及ばなかったPRIDE陣営も、年間通しの戦略の着実さで再度ブランド力の向上を目指すようだ。まだ正式に記者発表が無いだけに、水面下の情報を総合するしか無いのだが、基本的に今年の興行の軸になるのは、一昨年実施された「PRIDEミドル級GP」の第二回トーナメント。4、6、8の偶数月開催で、夏をピークに持ってくる戦略は相変わらずのようだ。
それに先立つ3月の「PRIDE29」では
クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン vs. ムリーロ・ニンジャ
アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ vs. アリスター・オーフレイム
イゴール・ボブチャンチン vs. 高橋義生
といったGPに向けての前哨戦的な試合が準備されている。
主催者側ではこれらをGPにむけての“査定試合”ではなく、「GPに向けての熱気を作る試合」と位置づけているが、ポスターにはしっかり「SURVIVAL(サバイバル/生き残り)」と大会テーマが刻まれており、開幕前に連戦せねばならない彼らの立場が「当落線ギリギリ」に置かれていることを明示している。
ミドル級GPは16選手参加で内定。王者ヴァンダレイ・シウバは、年末のハントとの無差別戦でのダメージもあるようで、一回戦シードとなる可能性もあるという。
榊原社長はラスベガスで2/5(土/現地時間)開催されるUFC 51を観戦を予定しており、その際にUFC側と交渉、1~2名のUFCライトヘビー級(=PRIDEミドル級)選手のGP出場を決めたい考えを明らかにしている。UFCの同階級には現在、王者ランディ・クートゥア、ティト・オーティズ、ビクトー・ベウフォート、チャック・リデルら世界トップの選手が集結しているだけに、交渉は難航が予想されるところだが。一方国内では、桜庭和志、田村潔司、金原弘光らの元UWFインター勢に加え、近藤有己、美濃輪育久、小路晃らの名前が候補にあげられているという。
このあたりの戦略の盤石さは言うまでもないが、今後PRIDEの方向性を左右するのは、むしろその後を受ける形になるであろう、武士道枠でのライト級トーナメントかもしれない。今のところ当確でトーナメントの主人公となる事を期待されている五味隆典、対抗馬となるであろうかつてのライバル三島☆ド根性之助がどこまで独走する五味に追いつけるかが大きなテーマになるはずだ。
「武士道」というブランドが、ライバルK-1における「JAPAN」のような存在になってしまうのか、あるいは「MAX」の対抗馬になるだけの力を持ちうるかは、すべてこのトーナメントの成否に掛っているといっても過言ではない。
この二つのトーナメントを成功させる事で、地道にファンの求心力を高めていくのが、チャレンジャーの立場にあるPRIDEの2005年戦略となるだろう。今年の大晦日までに、この両者の支持の差がどれだけ変化するかにも注目して行きたい。
【関連リンク】
K-1オフィシャル http://www.so-net.ne.jp/feg/k-1/
プライドオフィシャル http://www.prideofficial.com
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