ワンランクアップした写真を撮るポイントとは?
幼稚園、小学校などのまだお子さんが小さいうちの卒業式、入学式では、きっとご両親が写真撮影やビデオ撮影などに奔走していることでしょう。今回は、卒入式のときに押さえておくとワンランクアップした写真が撮れるポイントを4つご紹介しましょう。一般の方が撮られた写真を例にしながら、どのように撮るとさらによい写真になるかを解説していきます。
パパ、ママの親御さんはもとより、お孫さんや姪っ子甥っ子の式を撮られる方はぜひご覧ください。
ポイント1~ 式の看板と一緒に撮っておこう
卒業式、入学式ともに当日は校門の前などに、「平成○○年度 入学式 ○○小学校」などと書かれた看板が掲げられます。この看板こそが卒業式、入学式の証。この看板とお子さんはぜひ一緒に撮っておきましょう。誰が見ても卒業式、入学式の写真だとわかる最も基本形のポイント。それだけに外せない場面です。校門など外に置かれてることが多い場所なので、その日の天候にも左右されるかもしれません。雨の日などは、傘を差したままお子さんを並ばせてもいいと思います。各学校の状況に応じて対応してみてください。
ここで一般の方が撮られたサンプル写真を見てみましょう。
「入学式」「卒業式」などと書かれた会場にあるたて看板があればぜひお子さんと一緒に撮ってあげましょう。定番の撮影ポイントです。 |
「入園式」と書かれた看板の横にお子さんを並べて上手に撮れています。ただ、上の部分にある「○○年度」のところが切れてしまっているのが残念。年号などを一緒に撮っておくと時間が経ってその写真を見てもいつのものかがわかるのでできればフレームに入れるのがいいでしょう。
お子さんは後ろで手を組んでいますが、両手は足の横に自然に下げておけば、もう少しやわらかい感じになったかもしれません。または、軽くもものところに手を置くような感じでもいいでしょう。ただ、大人でも写真を撮られるときの手の置き所はわからないものなので、あまり気にしすぎる必要はありません。
もう一点、お子さんの頭の上にある「お願い」の看板、これが少し気になりますね。時間か経てば、幼稚園にはこんな看板もあったのだね、と昔を懐かしむこともできる要素でもありますが写真の絵柄的には、ちょっと邪魔かも。「入園式」のたて看板の向かって左側は多分出入り口になっていて人の出入りが多かったからこちらに立たせて撮られたのでしょう。でも、もしチャンスがあるなら、「入園式」の看板の左側にお子さんを立たせて撮ってみてもよかったかもしれません。この辺りは臨機応変に親御さんが配慮してあげてください。
看板などを入れて撮影するときには、広角レンズを用いれば撮りやすいです。ズームレンズで一番広く撮れるサイズに設定して撮ってみてください。もし看板などが入らない場合は、撮る人が後ろに下がるなどして調節しましょう。
次は「親子で撮ろう」です。ここも大事なポイント!
ポイント2~ 親子で撮ろう
ぜひ、式に出席した方々とは、みなさんそれぞれにお子さんと一緒に写真に納まってあげてください。どうしても撮影役になる方は、撮るばかりで撮られることがあまりないのですが、どなたかに代わってもらって撮ってもらってください。学校に行ってからだとバタバタしてしまいそうなら、ご自宅を出る前に撮影しておくのもいい方法です。それなら、式には付き添わない家族の方とも写真を撮れますね。さて、このときに撮影するポイントは、この日の主役であるお子さんを中心に撮る、ということです。簡単に言えば、その写真の中心となっているのがお子さんになるように撮ってあげましょう、ということ。
いいサンプル例がありますので見てみましょう。お父さんと娘さんの卒園式での写真です。
お子さんと一緒に撮る、これも大事なポイント。出席された方それぞれと撮られるといいですね。 |
ふたりともいい笑顔ですね。ですが、お子さんは顔から上しか写っていません。このときのポイント、「主役はお子さん」です。もう少しアングルを下げてお子さんの上半身が入るように撮ってあげるとお子さんのフレームに占める割合も大きくなり、「父と娘」と言った感じの写真になります。せっかく手をつないでいる部分も隠れてしまっているのでぜひ入れてあげてくださいね。
たぶん撮られた方は、後ろにいる大人の方の存在に気を取られて、一緒にフレームに取り組んでしまったのかもしれません。これでもう少し、お子さんが大きくフレームに入っていたら、あまり背景を気にしないでよかったかもしれません。バランスが大事なところです。
ともあれ、親子が写っている写真はいいものですね。ぜひ、当日はたくさんお子さんと並んで写ってあげてくださいね。
次にご紹介するのは、式典の撮り方のポイントです。
ポイント3~ 式典を手ブレなく撮ろう
入学式の入場シーン。ホールなどの室内撮影難しいのが手ブレと色あわせ。事前に少し学んでおくと対処できます。 |
卒業式も入学式もメインはホールなどで行われる式典。式でのわが子の晴れ舞台を撮ることを楽しみにしている方も多いかもしれませんね。
さて、式典を撮るときに気をつけないといけないポイントがあります。それは、室内撮影のため光量不足になることで起こる手ブレ。式典のときには、フラッシュや三脚の使用はできない場合が多いと思います。フラッシュも三脚も立てずに手ブレを起こさないで撮影することが大事。最近は、レンズやカメラボディに手ブレ補正機能が搭載されているものもあります。そういった機種をお持ちであれば、ぜひ活用してください。また、プログラムモードで問題なく撮れるようであれば、そのまま撮り続けていただければ結構です。
ここでは、室内の撮影シーンで手ブレが起こりがちで、カメラにも手ブレ補正機能などはないという前提でお話していきましょう。少しカメラの基礎知識が必要な内容です。
手ブレとは、シャッターが開いている間にカメラを持っている手がブレてしまい、ブレて写った写真のこと。明るい場所で撮る場合は、速いシャッタースピードで撮れるのですが、光の量が減ることで、シャッタースピードが遅くなります。
このことは、写真の露出に関連してくる内容なのですが、ここではあまり深く触れません。もし、より詳しく知りたいという方は、『露出なんて簡単カンタン!?』と『露出はこれでマスター!』の記事を参考にしてください。
デジタルカメラを使えば、簡単に手ブレが起こりにくい設定にし直すことができます。そのひとつの方法をご紹介しましょう。
まず、ISO設定を変更します。ISOとは、露出感度のことで、この数値が100、200などと上げることで感度も上がっていきます。ただ、感度を上げるほど、画質が荒くなるということも覚えておきましょう。
一般的にカメラを手で構えて撮影して、手ブレが起こりにくいシャッタースピードは1/60が目安。ただ、これも個人差があったり、撮り方にもよるので一概に確実に1/60で手ブレが起こらないとは言い切れません。あくまで目安としての数値だと思ってください。1/60では不安な方なら1/125のシャッタースピードで撮るなどそれぞれに対策をしてみてください。
では、1/60のシャッタースピードになるように設定するひとつの方法です。
・撮影モードは、露出優先モード(Aモード)に設定する。
・レンズの絞り値(F値)は開放値に設定する。
・式典会場のメインとなる舞台にレンズを向け、露出を計る。
・このときのシャッタースピードが1/60になるようにISO設定を上げる。
以上の方法でまずは設定してみてください。会場の照明が明るいのであれば、開放値より絞り込んでもいいでしょう。このパターンを参考に手ブレしない露出設定にしてみてください。
サンプルの写真では、上手に手ブレもなく会場をとらえてます。多分自動露出で撮っているのだと思いますが、この程度に撮れるようであれば問題ないでしょう。
色味が見た目と違う色で写ったなら、それはホワイトバランスの設定が対処します。光源にあわせてホワイトバランスを設定し直すのですが、どこに合わせていいかわからない場合は、ひとつずつ合わせて会場を試し撮りしてモニターで画像をチェックしてみてください。
フラッシュを使う方で、光の飛ぶ距離などについて知りたい場合は、『フラッシュの光はどこまで届くの? 』の記事もご参考にどうぞ。
最後にシャッターチャンスのとらえ方のヒントも公開。
ポイント4~ シャッターチャンスだと感じたら、すかさず撮りましょう
式典の前後、教室への移動のときなど、ちょっとした間がシャッターチャンスです。お子さんも緊張しながらも親にだけは見せるいつもの笑顔。そんな表情を卒入式のときにも取ってあげましょう。
ここでは、一般の方が撮られた、サンプル写真を何枚かご紹介しながら、シャッターチャンスの具体例を見ていきましょう。
ここでは、一般の方が撮られた、サンプル写真を何枚かご紹介しながら、シャッターチャンスの具体例を見ていきましょう。
ちょっと緊張しながらの入園式。そんなお子さんの心境も写し取れたらいいですね。 |
まず、こちらは、幼稚園の入園式での一枚。教室に移動してきたところでしょうか。まだほかの子たちか席についていないところで撮られています。撮影できるタイミングを上手に見つけて撮られています。ちょっとお子さんの表情に緊張感があるところなどは、入園式の日を表していているように読み取れます。
人物を中央に配置した構図ですが、後ろにいるほかのお子さんたちの様子や小さい子供用の椅子が並んでいるところが幼稚園の最初の日の雰囲気をより醸し出しているように感じます。とてもいい写真だと思います。
卒園式でのひとコマ。背景も上手にバランスを取りながらフレームに入れるといいでしょう。 |
こちらは、このお子さんの幼稚園の卒園式の写真。ほかのお子さんたちは違う方向を向いている中、このお子さんだけこちらを向いているのは、声をかけて撮られたのかもしれません。状況に応じてですが、もし可能であれば、一言声をかけて振り向かして撮るというのもひとつの方法。もちろん場の雰囲気や流れを読む必要はありますが。
後姿の和服の先生が大きく入っています。しかし、ちょうど首あたりでフレームアウトしています。こういう部分、ちょっと気になりますね。ここまで先生もフレームに入れるなら、頭もすべて入れてあげると全体に落ち着きがある写真になります。撮るときに余裕があれば、背景にあるものも意識して撮ってみてください。それだけで引き締まった写真になります。
入学式でのポートレート。少し大人になった様子が感じられる写真です。 |
そして、同じお子さんの小学校の入学式での一枚。これもちょうど並んでいるときにタイミングよく撮ったものでしょう。いい表情で撮れていますね。ちょっと小学校に入って誇らしげなところが伝わってきます。幼稚園の卒園式のときとは、違うものがあるのが比較してみるとよくわかります。
通常は斜めのフレームはおすすめしませんが、ここでは、おもしろい効果として表れているのではないでしょうか。ちょっと大きくなったお姉さんらしさがこの斜めに入れたフレーミングと同調しているようです。欲を言えば、後ろに写っている黄色い服の大人の方が写っていないければ背景もスッキリしていてよかったなと思います。
さて、卒入式の写真の主なポイントを大きく4つ挙げてみました。まだまだ細かいポイントもあることでしょう。学校などによっても式典の演出方法などにも違いがあり、すべてに応じられているものではありませんが、大方の場合には応用してもらえるポイント部分をご紹介してみました。
ぜひ、お子さんが大きくなってもこの日のことを思い出せるいい写真を撮ってさしあげてください。
写真・テキスト 瀬川陣市
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