写真撮影/写真撮影の基礎知識

躍動感のある写真の撮り方は? シャッタースピードを使いこなそう

躍動感のあるダイナミックな写真撮影がしたいのだけど、どうしたらいいのだろう? そんな時は、シャッタースピードを活かしてみましょう。撮れるとかっこいい「流し撮り」の方法についてもレクチャーします!

瀬川 陣市

執筆者:瀬川 陣市

写真撮影ガイド

躍動感のある写真撮影にはシャッタースピードを活かそう

写真の露出は、絞りとシャッタースピードの組み合わせで決まります。今回は、そのうちシャッタースピードの応用方法についてみていきましょう。

シャッタースピードを活かして撮影すると、「動き」を表現した写真が撮れます。
 
露出設定表示画面
デジタルカメラの露出設定表示画面。「500」というのは、1/500のシャッタースピードという意味。躍動感のある写真を撮影するには、この数値を調整する。

シャッタースピードを語る前に、まず知っておきたいのが露出の基本。『露出なんて簡単カンタン!?』でも、絞りとシャッタースピードの関係については簡単に解説してあります。ここで簡単にシャッタースピードについておさらいをしておきましょう。

「シャッタースピードが遅い」と言う場合、長い時間シャッターが開いていてその間ずっと画像を写し撮ることを指します。

シャッターが開いている間に動きがあるものは、動いたまま写ります。それがブレとなって写りこみます。

反対に速いシャッタースピードにすると、一瞬の動きを止めて写すことができます。スポーツのシーンでは、一瞬の動きを止めて撮る必要があるので、速いシャッタースピードが撮影には大事になってきます。

シャッタースピードの単位は、1秒から遅い順序に表記すると次のようになります。

1
1/2
1/4
1/8
1/15
1/30
1/60
1/125
1/250
1/500
1/1000
(秒)

表記した単位の中間でも設定ができますが、フィルムカメラの設定での基準に使われていた表記で示すと上記のようになります。

デジタルカメラの液晶画面には、1/60を省略して60とだけ表記される機種もあります。この数字は、シャッタースピードを表すものだということをまず理解しておきましょう。

このシャッタースピードの違いでどのように写り方が違うのか、比較して見てみましょう! 
   

水の動きでシャッタースピードの違いを見てみる

シャッタースピードが変化すると写り方もどのように変わるのでしょうか。噴水から沸き上がる水の動きをシャッタースピードの設定を変えて撮影した写真でその変化の違いを比較してみましょう。

遅いシャッタースピードから順にその写り方の違いを比較して見てください。
 
1/15
1/15の遅いシャッタースピードのため、水の動き全体が流れるように写っているのが見えます。水の動きをこのように撮りたいときは、遅いシャッタースピードで設定して撮影します
 
1/30
1/30のシャッタースピード撮影。1/15と比べて水の写り具合に変化が現れました
 
1/60
1/60で撮影。この速さになると噴水から出る一本一本がはっきりと見えて写るようになってきます
 
1/125
1/125で撮影。動きが止まって見えて写る速度
 
1/250
1/250で撮影。粒がかなりわかりやすく見えるようになってきました
 
1/500
1/500で撮影。粒のひとつひとつもはっきり写るようになる段階。1/15と比べるとその差は歴然

速いシャッタースピードは、動きを止め、反対に遅いシャッタースピードは動きがブレて写るということがこの写真からもわかることと思います。

シャッタースピードの設定は、絞り優先モードやシャッタースピード優先モードを使い設定してみてください。撮影モードについては、『初めてのデジタル一眼レフ、素朴な質問Q&A』で解説してあります。
 

遅いシャッタースピードによる被写体ブレも躍動感に利用

遅いシャッタースピードに設定した場合、シャッターが開いている間に動いたものはブレて写ります。写っているものの動きによるブレを「被写体ブレ」と呼びます。(いわゆる「手ブレ」は撮影するときにカメラが持つ手がブレて起こるもので、被写体ブレとは分けて考えます)

「被写体ブレ」も使い方によっては動きを表す効果的なテクニックとなります。それでは失敗例と成功例で比較して見てください。
 
失敗例
1/50で撮影。遅いシャッタースピードのときに体全体が動いてしまい被写体ブレを生じた例。写真としては表情がわからないので失敗例

上の写真は、人物全体がブレて写ってしまい、表情などもわからない写真になってしまいました。しかし、同じ状況でも手の動きだけのブレだとまた違った効果のある写真になります。
 
成功例
1/40で撮影。失敗例より遅いシャッタースピードで撮っているのにかかわらず、手の動きだけがブレで動きか伝わる写真に。被写体ブレの成功例

このように同じ「被写体ブレ」でも躍動感を表すこともできます。どこにブレを生じさせるかを計算してシャッタースピードも設定して撮影してみるといいでしょう。

スポーツシーンでの速いシャッタースピードで動きを止めた効果ある写真をご覧ください!
 

スポーツシーンでの撮影方法

スポーツの撮影も運動会や各種スポーツの試合など様々あります。スポーツの撮影では、シャッタースピードはとても大事な設定要素になります。

スポーツ撮影では、基本的に動きを一瞬止めた画像を撮影します。そのため速いシャッタースピードが必要になってきます。最低でも1/125以上の速さは欲しいところです。

ただ、前ページでも紹介した、「被写体ブレ」を活かして動感を表現する場合には、あえて遅いシャッタースピードを選択することもあります。

シャッタースピードによるスポーツシーンでの写真の違いをご覧ください。
 
スロースピード
1/60で撮影。ボールの動きや選手のブレなどが生じるシャッタースピード。動きを表すには適したシャッタースピード
 
ハイスピード
1/160で撮影。ナイターであってもこの程度の速さがあれば、速い被写体の動きも止めて撮影が出来ます

スポーツシーンの撮影については『フィールドスポーツ、こんなに簡単撮影テク』『運動会撮影、こんな失敗はもうしない 』も参考にしてみてください。


最後にシャッタースピードを活かし動きを写した「流し撮り」のサンプル写真をご覧ください!
 

流し撮りは遅いシャッタースピードで躍動感のある写真を

動く被写体に合わせてレンズも動かして撮影するテクニックを「流し撮り」といいます。このときには、シャッタースピードを1/60以下の遅い速度に設定します。

シャッターが開いている間に被写体の動きに合わせてレンズも動かして被写体の周辺にブレを作り動感を作るという撮り方です。

撮影するには少し練習が必要でしょう。1/30ほどの速度に設定して、左右に動くものに合わせてカメラも動かしながらシャッターを切ってみてください。

上手くいくと被写体にはピタッとピントが合い、周りはブレた躍動感ある「流し撮り」の画像が写せるはずです。
 
流し撮り
シャッタースピードを1/60以下に設定して、左右に動くものに合わせてレンズも動かしながら撮る、流し撮り。きれいに撮れると気持ちいいものです。イタリア・フィレンツェにて
 
流し撮り
流し撮りは基本的には横位置で構えるのが撮りやすいのですが、縦で撮ってみても効果ある写真が撮れます。横浜中華街にて


写真・テキスト 瀬川陣市
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