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架空史ミステリーの気鋭・獅子宮敏彦(2ページ目)

獅子宮敏彦は2003年にデビューした本格ミステリー作家。架空の歴史譚にトリッキーな謎解きを組み込んだ、そのユニークな作品世界を御案内しましょう。

執筆者:福井 健太

架空の王朝に遺された
奇想天外な"謎の物語"

『神国崩壊』
宮廷の殺人事件を解決するため、皇帝直属の"探偵府"は秘められた"禁書"を読み解いていく。架空の歴史ロマンと不可能犯罪を融合させた会心作。
獅子宮敏彦の第2作『神国崩壊』は、清をモデルにした架空の王朝の物語である。華王朝の都"紫京"の宮廷で皇帝の側近・甲貴藩王が殺害され、被害者の持っていた"禁書"に秘密があると察した"探偵府"の面々は、かつての都"廃京"で発見した書物を繙いていく。単行本のタイトルからも解るように、本書は著者の(事実上の)デビュー作「神国崩壊」を内包しているが、ここではちょっとした細工が施されている。三部構成の第二部(全体の約8割を占める)に4つの作中作が置かれており、表題作はその1つに使われている。つまり本書は短編集であると同時に、それらを組み込んだ長編にもなり得ているわけだ。

古の作家が遺した4つの物語――生死を司る"神の水"による怪死、城壁をすりぬける軍隊、孤島の連続殺人、消失した都市などの謎解きを読み終えた"探偵府"の利春は、文中の情報をもとにして殺人犯を推理していく。多重構造の本格ミステリー、架空の王朝を描くファンタジー、陰謀譚と活劇などの要素を併せ持つ、多面的な魅力を備えたエンタテインメントなのである。

【関連サイト】
獅子宮敏彦(Wikipedia)…ウィキペディアの「獅子宮敏彦」の項目です。
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