配達あかずきん
書店を舞台にした“日常の謎”系統の連作短編集。
本好きならば、行きつけの本屋さんってあると思います。もし、そこで謎めいた出来事が起こっていたら? そんな楽しい設定で書かれた話題のデビュー作『配達あかずきん』について、著者の大崎梢さんにお話をうかがいました。

書店ミステリということで、取材場所はミステリ書店。最後にお店のガイドもしていますので、そちらもお楽しみに!

<内容紹介>
舞台は駅ビル内にある成風堂書店。病床にある老人の暗号めいた探求書リスト、姿を消した常連客が残した言葉、配達したばかりの雑誌に挟まれていた盗撮写真……などなど、書店で起こるさまざまな出来事の謎に、店を支えるしっかり者の社員・杏子と、頭は切れるが不器用なアルバイト女子大生・多絵が挑みます。

「パンダは囁く」「標野にて。君が袖振る」「配達あかずきん」「六冊目のメッセージ」「ディスプレイ・リプレイ」の5編を収録。著者による各編のあとがきが「Webミステリーズ!」で読めますのでご一読を。

本格書店ミステリ誕生!

大崎梢さん
大崎梢(おおさき・こずえ)。東京都生まれ。神奈川県在住。好きな作家は横溝正史。なかでも好きなのが『獄門島』と『八つ墓村』と『悪魔の手毬唄』の3作品だそうです。
ガイド:なぜ書店を舞台に小説に書こうと思われたのですか?

大崎さん:今年の春まで書店で働いていたのですが、仕事の話をするといつも友達にすごくウケるんですよ。書店の話は一般の人が聞いてもおもしろいんだなと思ったので、好きで書いていた小説の題材にしてみようかなと。

ガイド:実は私も書店員をしていたのですが、「書店の日常的な仕事がまさかミステリになるなんて!」と目からウロコの1冊でした。お友達に話して、一番驚かれたのはどんなことですか?

大崎さん:たとえば、雑誌の付録の話ですね。みんな付録は出荷されるときに全部ついていると思うみたいなんです。「付録と雑誌は別々になっていて、お店に出す前に書店員が1冊1冊つけているんだよ」と言うと、「えーっ!」って。書店で働いている私にとっては当たり前のことを話しているのに、驚かれるのがおもしろかったです。

どこにでもあるような本屋を描きたい

平台に並んだ『配達あかずきん』
毎日膨大な新刊があるなかで、平台に並ぶのはすごいこと。
ガイド:舞台になっている成風堂書店は、駅ビルにある中規模の書店ですね。この設定はどのように決められたのですか?

大崎さん:自分の働いていた店がモデルです。そんな単純でいいのかなと心配だったんですが、巻末に収録されている書店員さんたちの座談会を読むと自分の働いている書店に似ているとみなさんおっしゃっていたので安心しました。どこにでもある本屋さんを描きたいというのはあったので。読者のかたが「うちの近くの本屋かな?」と思ってくださるのが理想ですね。

ガイド:店員同士の会話やお客さんとのやりとりなど、ほんとうにリアリティがありますよね。社員の杏子がワトソンでアルバイトの多絵が名探偵というところもおもしろい。彼女たちのキャラクターはどうやって肉づけしていったんですか?

大崎さん:書いていくうちになんとなく。はじめの頃はシリーズものになるなんて思わなくて、キャラクターについても細かく決めてなかったんですよ。だんだんキャラクターの役割が決まってくると、制約ができて難しく感じました。慣れたら楽しくなってきましたけど。

ガイド:頭はいいのに不器用な多絵がかわいいです。プレゼント包装に失敗して包装紙を無駄にしたから推理しろって言われたり(笑)。

大崎さん:名探偵なのに尊敬されていないという(笑)。ものすごく不器用なバイトの子がいたんですよ。線が刷り込んである図書券用の包装紙すらまっすぐ折れないような。その子のことを思い出して、参考にしました。

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