昨年度の"新人王"湊かなえ
生徒に娘を殺された中学教師の報復は、多くの波紋を経て破局へと突き進んでいく。高い評価とセールスを記録した大型新人のデビュー作。 |
『告白』はこんな物語だった。第1章にあたる「聖職者」では、中学校教師の"このクラスの生徒に娘を殺された"という挨拶を通じて、彼女のグロテスクな復讐計画が淡々と述べられていく。第2章「殉教者」で女子生徒の視点から殺人犯たち――下村直樹と渡辺修哉の姿が描かれた後、第3章「慈愛者」では下村の家族、第4章「求道者」では下村自身が語り手を務めることになる。独善的な人々の"語り"によって殺伐としたドラマを描いた傑作なのである。
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