現代本格ミステリーの"神"
日本の本格ミステリーファンにとって、島田荘司ほど強烈な存在感を放っている作家は他にいないだろう。1948年に広島県で生まれた島田は、武蔵野美術大学を卒業後――ダンプカーの運転手やイラストレーターなどを経て――第26回江戸川乱歩賞の最終候補作『占星術のマジック』を改稿した『占星術殺人事件』で1981年に小説家デビュー。名探偵・御手洗潔(初刊時は「清志」)の初登場する本書と第2作『斜め屋敷の犯罪』で本格ミステリーマニアの度肝を抜いた後、1984年刊の『寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁』で警視庁捜査一課刑事・吉敷竹史のシリーズを開始し、たちまちベストセラー作家の仲間入りを果たした。この時期には『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』と『夏、19歳の肖像』が直木賞の候補に選ばれている。1980年代後半からは"新本格"作家を続々とデビューさせ、本格ミステリー論とその実践を世に問うことで、島田は本格ミステリー界の第一人者となった。日本人論や死刑問題に関する著書、カーエッセイなども数多く上梓しているが、そんな多才ぶりも多くのファンを獲得している理由の1つに違いない。著者と読者の選んだ豪華BOX
全ての中短編から10作を厳選した超豪華企画。もちろんクオリティの高さは折り紙付き。ファンにとってはマストアイテムだろう。 |
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