有栖川有栖の基礎知識
火山の噴火に閉ざされたキャンプ場で殺人事件が起こった。推理小説研究会の会長・江神二郎は鮮やかな推理で容疑者を絞り込んでいく。著者の記念すべきデビュー作。 |
有栖川の著書は30冊を超えるが、本格ミステリー作家としての軸が〈江神シリーズ〉にあることは間違いない。『月光ゲーム』『孤島パズル』『双頭の悪魔』と刊行された後、このシリーズ(長編)は長きにわたって停止していた。そして前作から15年目にあたる今年――ついに最新刊『女王国の城』が刊行されたのである。
デビュー作と第2作
秘宝の隠された孤島で惨劇が発生。江神たちは真犯人と秘宝の在処を突き止められるのか? 新ヒロインの麻里亜も加わったシリーズ第2弾。 |
同年に刊行された続編『孤島パズル』は、EMCに女性会員・有馬麻里亜が入会したところで幕を開ける。孤島に伯父の別荘があるという麻里亜の誘いを受け、江神と有栖川は夏休みを利用して嘉敷島を訪れた。2人は麻里亜の祖父が残した「秘宝の在処を示すパズル」に挑むものの、その矢先に大事件が発生する。台風に閉ざされた小屋で2人の滞在客が射殺されたのだ。ヒロインの投入によって物語の幅を広げつつ、犯人当てと宝探しの興味を盛り込んだ野心作といえるだろう。
次のページでは『双頭の悪魔』と『女王国の城』を御紹介します。