稀代の妖女・潘金蓮に夢中になる!山田風太郎『妖異金瓶梅』
モテモテの大金持ち・西門慶と美しい夫人たちが繰り広げる酒池肉林のミステリ絵巻。 |
舞台は中国のある県にある大富豪・西門慶(さいもんけい)の屋敷。西門慶は無類の女好き。正夫人のほかに複数の愛人を同居させています。その愛人たちが、次々と不審な死をとげるのです。西門慶の幇間で、頭の回転が速い応伯爵は、事件の背後に最も寵愛されている第五夫人・潘金蓮(はんきんれん)の姿を見出します。
金蓮は、
新月のようにかすんだ眉であった。灼けつくように真っ赤にぬれた唇であった。容貌も無双だろうが、この女にはちかづくと麝香のような匂いが鼻をうつ。いつも鳳をかたどった簪が、慾情にふるえているようにみえた。
というくらいの美女。しがない餅売りの妻だったのですが、類稀なる美貌を西門慶に見初められ、前夫が亡くなったのをきっかけに夫人の座におさまりました。前夫は金蓮に毒殺されたのではないかという噂もあります。そんな疑いを抱かせながらも、一見無邪気で可愛い雰囲気。しかも女同士の嫉妬渦巻く屋敷の中で、うまく立ち回っている。綺麗なだけではなくて切れ者なんです。その第五夫人が、事件にどんなふうに絡んでいるのか。幇間探偵・応伯爵は、真相を見破りますが……。
それぞれの短編は謎解きとして完結しているのに、読めば読むほど、連作のラストがどうなるのか想像がつかなくなります。そして読後には、男女の情愛の深淵をのぞいた気分に。
さて、対決の結果は……?>>>