ミステリー小説/ミステリー小説関連情報

号泣系最愛ミステリーBEST3(2ページ目)

やっぱり、涙を流させるのは“愛”かも? ということで“最愛”の人との絆を描いた小説BEST3をセレクトしてみました。

執筆者:石井 千湖

夫婦の絆を描いた連作【no.2】加納 朋子『ささらさや』

ささらさや
ささくれだった気持ちもやさしく
波乱万丈の人生を描いた小説の次は、やさしいミステリーをどうぞ。加納朋子の『ささらさや』。幽霊になってしまった夫が、頼りない妻の周りで起こる不思議な出来事の謎を解く連作短編集です。

幸せの絶頂から、絶望の淵へ。というのは、号泣本ではスタンダードな展開。本書の主人公・サヤの場合は、大好きな人と結婚して、可愛い赤ちゃんが生まれた直後に、夫を亡くしてしまいます。サヤはもともと夫のほかには頼る人がいません。夫の実家は裕福で、跡取りとして息子のユウスケを引き取りたいと申し出ます。舅姑に赤ん坊を奪われないように、サヤは伯母の残してくれた家がある佐々良(ささら)に引っ越すのです。

バカがつくほどお人好しで、他人を微塵も疑わないサヤの純粋さ。彼女を放っておけなくて、なにかと面倒を見る3人のおばあさん(久代・夏・珠子)とのやりとりの楽しさ。側にいるのはわかっているのに、愛する夫と会えないつらさ。さまざまな想いを、著者は丁寧に綴っていきます。

ラストはとても切ないけれど、読後感はじんわりと温かい。凍った心をゆっくりと溶かしてくれるような一冊です。

no.1は女友達との絆を描いた一冊>>>
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます