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号泣系最愛ミステリーBEST3(3ページ目)

やっぱり、涙を流させるのは“愛”かも? ということで“最愛”の人との絆を描いた小説BEST3をセレクトしてみました。

執筆者:石井 千湖

女友達の絆を描いた長編【no.1】北村 薫『ひとがた流し』

ひとがた流し
年齢を重ねるほど、友達って大事だなあと思います
ケンカしながらも仲の良い『ささらさや』の三婆。年をとってもケンカできる友達がいるのはいいなあと思います。最後におすすめするのは、女同士の友情を繊細に描いた『ひとがた流し』です。自分の家庭を持つと、学生時代の友人とは疎遠になってしまうことも多いですよね。でも、年齢を重ねれば重ねるほど、友人とのつながりをかけがえなく感じるのではないでしょうか。

物語の主な登場人物は、アナウンサーの千波と作家の牧子、元編集者の美々。3人は高校時代から40代になった今でも、お互いの娘(牧子の娘・さき、美々の娘・玲)も交えて往き来する関係です。そのうちのひとり、千波の病が、朝のニュース番組のメインキャスターに抜擢された矢先に発覚します。

そう、本書は号泣本では定番中の定番、不治の病モノです。でも、著者は物語を盛り上げるために登場人物を重い病気にするような無神経なことはしません。たとえば千波の態度で病院で何か言われたと悟ったときの牧子の対応など、デリケートな問題を丁寧に描いていることがよくわかります。とにかくひとつひとつの何気ないエピソードが印象に残る作品です。

ガイドが好きなのは鯖の味噌煮の話。ある秘密を知ってショックを受け、家を突然訪れた玲に、千波は鯖の味噌煮をふるまいます。牧子に聞いたという鯖の味噌煮にまつわるエピソードを玲に話した後、千波はこんなことを言うのです。

そういう記憶のかけらみたいなものを共有するのが、要するに、共に生きたってことだよね。

ドラマティックな事件ではない。鯖の味噌煮を見ると一緒に食べた人のことを思い出すような、日々のささやかな出来事が想いを伝えてゆく。深い感動とともに、毎日を大切にしようという真摯な気持ちがわきあがってきます。

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