奇蹟を起こした男の物語スティーヴン・キング「刑務所のリタ・ヘイワース」(『ゴールデンボーイ』収録)
「刑務所のリタ・ヘイワース」を収録した文庫本。表題作は怖いです。 |
主人公は、元銀行家のアンディー・デュフレーン。1948年、彼はショーシャンク刑務所に入所しました。妻と愛人を殺した罪で。彼は無実を訴えましたが、有罪と判定されたのです。荒くれ者の犯罪者が集うショーシャンクで、アンディーは異質の存在。物静かで孤高を保ち、刑務所の中でも優雅に振舞います。そんなアンディーに暴力で屈辱を与える受刑者たち。ですが、アンディーは酷い境遇から自分で脱け出します。銀行家としての経験と能力を活かして。
看守にも所長にも一目置かれ、アンディーは少しずつ刑務所を明るい場所にしていきます。図書館を充実させ、受刑者が高校卒業の資格をとれるように手配し、よろず調達屋のレッドをはじめとする仲間たちと友情をはぐくみ……。映画にはティム・ロビンス演じるアンディーが看守をトイレに閉じ込めて、みんなにモーツアルトの「フィガロの結婚」を聴かせる場面があります。そのときのアンディーの幸福な表情。原作のエッセンスを映像と音で見事に表現した、世にも美しい名シーン!
そして、アンディーは入所から30年後、ある奇蹟を起こす。彼がレッドに残したメッセージを読んだとき、目頭が熱くなります。映画も原作も、晴れ晴れとした気持ちになれる傑作です。
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