忘れてはならない店主や常連へのリスペクト
写真上/ジャズボーカルBar『ボルチモア』。スタッフは女性。写真下/可愛い女性バーテンダーが日替わりで立つ『原子心母』 |
「入り口に会員制と書かれている店」はもちろん、常連だけに許された至極の店。知人に紹介されたり、他店の常連に連れていかれるなど、その敷居はめっぽう高い。また、「扉が閉まっており中が覗けない店」「扉を開けてママが呼び込みをしている店」「外装が新しく小窓から中が覗ける店」などでもそれは同じで、中には一見お断りの店もあり、それを見分ける方法は、勇気を持って始めての店の扉を押してみるしかない。歓迎してくれる店もあれば、あっさり断られる店もあるだろう。
しかしながら、それをもって「この街は俺には合わない」と決めつけるのは早計である。飛び込みで入った一軒を実家のように感じるようになることもあるのだから。あるいは、人気のラーメン屋に例えると分かりやすいかもしれない。何時間も並ぶ、店内は私語やタバコなど禁止事項だらけ、それでも人はその味を追い求める。良薬は口に苦し、喉元過ぎれば熱さ忘れる。そう、このハードルの高さは、この街を愛する客の想いと、常連客を大切にしたいという店主の想いがクロスすることで成立する、この街のスパイスなのである。