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西部劇の名作&おすすめ作品15選

西部劇(ウエスタン映画)15選をお届け。人気俳優、監督の映画から語り継がれる名作まで、膨大な数の西部劇の中から「これぞ!」という作品をチョイス。往年の西部劇を観賞してネイティブアメリカンの誤ったイメージを持たぬよう注意ください。

執筆者:中野 豊

西部劇映画の名作とおすすめ作品を紹介

西部劇映画(ウエスタン映画)の名作&おすすめ作品15選

西部劇映画(ウエスタン映画)の名作&おすすめ作品15選


今回は血沸き肉踊る西部劇(ウエスタン映画)。おすすめの西部劇を5つご紹介したのち、ベスト10の作品を発表します。最後までごゆっくりお楽しみください。

※初期のハリウッド映画では白人開拓者が善として描かれ「インディアン」がしばしば敵役として登場することがありますが、西部劇のインディアンはアメリカの先住民族のことで、現代では、ネイティブアメリカンとして英雄視されるようになってきています。往年の西部劇をご覧になられて、誤ったイメージを刷り込まぬようにご注意ください。

 

西部劇映画の名作1.『許されざる者』

引退した元ガンマン、ウィリアム・マニーが、賞金稼ぎのために若いガンマンと親友とともに指名手配中の極悪人の追跡を決意。11年ぶりに銃を手にしたウィリアムは、指名手配犯だけでなく、伝説の殺し屋や非情な保安官とも対峙することに……。
  クリント・イーストウッドが監督・主演を務め、1992年度のアカデミー賞で作品賞、監督賞、助演男優賞(ジーン・ハックマン)編集賞の4部門を受賞。多くの監督作がありながら無冠の帝王だったイーストウッドがついに栄冠を手にした作品です。日本版リメイク『許されざる者』(2013年/主演:渡辺謙)は、設定を明治時代に置き換えた時代劇。本作と見比べるのも面白い。

[作品紹介]
・1992年/アメリカ映画/上映時間:135min
・監督:クリント・イーストウッド
・出演:クリント・イーストウッド、モーガン・フリーマン、ジーン・ハックマン、リチャード・ハリス

 

西部劇映画の名作2.『ジャンゴ 繋がれざる者』

賞金稼ぎのドイツ人歯科医がお尋ね者の顔を知る黒人奴隷ジャンゴとコンビを組んで大追跡。しかし、ジャンゴには違う目的がありました。それは生き別れになった妻を取り戻すこと。彼女が残酷な農園主のもとにいると知ったジャンゴは、歯科医ともに乗り込むのですが……。
  クエンティン・タランティーノ監督によるバイオレンス西部劇。主演はジェイミー・フォックス。相棒の歯科医にクリストフ・ヴァルツ。そして極悪農園主役のレオナルド・ディカプリオが怪演を見せています。タランティーノらしいユーモアを加味しながら奴隷制をバッサリと斬る展開が斬新な作品。

[作品紹介]
・2012年/アメリカ映画/上映時間:165min
・監督:クエンティン・タランティーノ
・出演:ジェイミー・フォックス、クリストフ・ヴァルツ、レオナルド・ディカプリオ、
ケリー・ワシントン、サミュエル・L・ジャクソン

 

西部劇映画の名作3.『3時10分、決断のとき』

南北戦争で片足を亡くした狙撃の名手が、貧しさゆえに金目当てで強盗団のボスの輸送を引き受けることに。ユマ行きの列車に乗って、3日後の3時10分までに引き渡さないといけないが、ボスの手下の邪魔など前途多難な旅となるのです。
  狙撃の名手をクリスチャン・ベール、強盗団のボスをラッセル・クロウが演じています。危険な仕事を引き受けた真面目なガンマンとカリスマ性のあるボスとの関係性が変化していく様子が秀逸で、ベール、クロウともに好演。『決断の3時10分』(1957年)のリメイクです。

[作品紹介]
・2007年/アメリカ映画/上映時間:122min
・監督:ジェームズ・マンゴールド
・出演: ラッセル・クロウ、クリスチャン・ベイル、ローガン・ラーマン、ベン・フォスター、ピーター・フォンダ

 

西部劇映画の名作4.『トゥルー・グリット』

父親を殺された14歳のマティは、仇を取ろうと決心。酒好きだが腕はいいと評判の保安官ルースターに犯人追跡を依頼。犯人の男を追う別な人物も現れ、彼らは結託して追跡劇を開始するのです。
  原作は『勇気ある追跡』(1969年)のベースとなったチャールズ・ポーティスの著作。これをジョエル・コーエン&イーサン・コーエンが脚色し、オフビートなユーモアも加わったユニークな追跡劇に仕上げました。出色は勇敢な14歳マティを演じたヘイリー・スタンフェルド。保安官を演じたベテラン俳優ジェフ・ブリッジスに負けない強烈な存在感を残しています。

[作品紹介]
・2010年/アメリカ映画/上映時間:110min
・監督: ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
・出演:ジェフ・ブリッジス、マット・デイモン、ジョシュ・ブローリン、バリー・ペッパー、ヘイリー・スタインフェルド

 

西部劇映画の名作5.『クイック&デッド』

早撃ちトーナメントに参戦した女性ガンマンのエレンには別な目的がありました。それは主催者の市長ヘムロットへの復讐。ヘムロットは彼女の父を殺した過去があったのです。
  エレン役のシャロン・ストーンほか、レオナルド・ディカプリオ、ラッセル・クロウ、ジーン・ハックマンというスター俳優共演作なのに、コスプレ西部劇感が満載の珍作。カッコつけすぎのシャロンのオーバーな演技にはニヤニヤ笑いが止まらないが、ディカプリオやクロウは確かな演技で見せ場を作っていてさすが! 遊び心満載のライミの演出などが楽しい作品です。

[作品紹介]
・1995年/アメリカ映画/上映時間:107min
・監督:サム・ライミ
・出演: シャロン・ストーン、ジーン・ハックマン、ラッセル・クロウ、レオナルド・ディカプリオ

ここからは、いよいよベスト10の発表!
 

西部劇映画おすすめベスト10!傑作揃い!

膨大な数の西部劇の中から10本をチョイスするので、南北戦争に絡む『風と共に去りぬ』やメキシコ革命を主題にしたもの、また西部を舞台にしたミュージカル、コメディ映画は除外しています。イタリア製マカロニ・ウェスタンからは代表作1本、その他の国(アメリカ映画以外)のウエスタン調作品もと思いましたが、入れ込む余地のない傑作揃いの10本です。

 

1. ロマンティックな青春西部劇『明日に向って撃て!』

軽妙な音楽と大胆な演出による新感覚ウエスタンです。1890年代の二人組のギャング、ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドは、列車強盗に成功するも追跡隊に追われるはめになり、南米ボリビアへサンダンスの恋人エッタを連れて高飛びし、そこでまたまた荒稼ぎをはじめるのです……。
  余談ですが、俳優・映画監督のロバート・レッドフォードがインディペンデント映画を対象に「ユタ・US映画祭」として始めた「サンダンス映画祭(Sundance Film Festival)」の命名は本作の役名からです。

[作品紹介]
・1969年/アメリカ映画/上映時間:112min
・監督:ジョージ・ロイ・ヒル
・出演:ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、キャサリン・ロス

 

2.最後の西部劇監督サム・ペキンパーの最高作『ワイルドバンチ』

パイクをリーダーとした5人組の強盗団がメキシコに逃走中、アパッチ将軍一団の略奪を目撃、アパッチは米軍の武器輸送列車から武器を強奪すれば1万ドルを提供しようとパイクたちに持ちかけるのですが、アパッチに金を払う意志などなくパイクらを利用しただけだったのです。
  そして両者の壮絶な対決へ雪崩れこみます。スローモーションを駆使した有名なラストの銃撃戦は後のバイオレンス映画にも絶大な影響を与え「血のバレエ」とも呼ばれました。暴力描写を美にまで昇華させた、ただものではない西部劇の傑作です。

[作品紹介]
・1969年/アメリカ映画/上映時間:137min
・監督:サム・ペキンパー
・出演:ウィリアム・ホールデン、アーネスト・ボーグナイン、ロバート・ライアン、ウォーレン・オーツ、ベン・ジョンソン

 

3. マカロニ・ウエスタンの代表作『夕陽のガンマン』

ニューメキシコを舞台に、おたずね者を殺す賞金稼ぎの腕のたつガンマン二人が協力して2万ドルの賞金のかかった脱獄囚と戦います。
  マカロニ・ウェスタン(命名は映画評論家の淀川さん)は、1960年代~1970年代前半に作られたイタリア製西部劇で、それまで西部劇といばハリウッドの独壇場でしたが、突如量産されたイタリア製西部劇には開拓精神はなく、残虐な刺激を売り物にその乾いたタッチに秀作も何本か作られました。黒澤明監督の『用心棒』を1872年のニューメキシコに舞台を移した『荒野の用心棒』から日本でも続々と公開されました。

[作品紹介]
・1965年/イタリア=スペイン映画/上映時間:132min
・監督:セルジオ・レオーネ
・出演:クリント・イーストウッド、リー・ヴァン・クリーフ、ジャン・マリア・ヴォロンテ、クラウス・キンスキー

 

4. 黒澤明の「七人の侍」を西部劇に翻案した『荒野の七人』

『七人の侍』の舞台をメキシコに移し映画化した西部劇の傑作の1本! メキシコの寒村イストラカンは毎年野盗に襲われていました。そこで村人は助っ人を雇うことに。一人たったの20ドルの報酬でしたが村人の熱意に打たれて七人のガンマンが集まります。
  早撃ちのリーダーにユル・ブリンナー。クールなナイフ使いにジェームズ・コバーン。そしてショットガンの名手のスティーブ・マックイーンのカッコイイこと! 本作のヒットにより『続・荒野の七人』、『新・荒野の七人』が製作されました。

[作品紹介]
・1960年/アメリカ映画/上映時間:128min
・監督:ジョン・スタージェス
・出演:ユル・ブリンナー、スティーヴ・マックィーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーン、ロバート・ヴォーン

 

5. 歌あり恋ありアクションありの痛快西部劇『リオ・ブラボー』

メキシコ国境近いテキサスの町リオ・ブラボーを舞台に描いたハワード・ホークス監督による西部劇史上の名作の1本。
  保安官のチャンス(ジョン・ウェイン)が殺人犯ジョーを逮捕すると、ジョーの兄で、その町のボスが多勢でやってきてジョーの引渡しを要求。チャンスはアルコール依存のデュード(ディーン・マーティン)と、足の悪い老人、幌馬車隊の護衛や女賭博師を味方につけて戦うことになります。少人数の仲間が連携して優性な敵に立ち向かう姿が感動的です!

[作品紹介]
・1959年/アメリカ映画/上映時間:135min
・監督:ハワード・ホークス
・出演:ジョン・ウェイン、ディーン・マーティン、リッキー・ネルソン、アンジー・ディキンソン

 

6.ワイアット・アープとドク・ホリデイの友情『OK牧場の決斗』

ガッツ石松さんが盛んに使うギャグ「OK牧場!」は、当然本作から(笑)。
  この後にご紹介するジョン・フォード監督の『荒野の決闘』と同様、ワイアット・アープ、ドク・ホリディとクラントン一家の決闘を描く本作は、ダイナミックなアクションが見ものの秀作です。

[作品紹介]
・1957年/アメリカ映画/上映時間:122min
・監督:ジョン・スタージェス
・出演:バート・ランカスター、カーク・ダグラス、ロンダ・フレミング、リー・ヴァン・クリーフ

 

7. シェーン! カムバック『シェーン』

西部劇お決まりの馬での疾走や決闘よりも、ファミリードラマと言ってしまってもいいほど、一般的な親子とシェーンのドラマが丁寧に描かれています。
  主題歌「遥かなる山の呼び声」をバックに映し出される1890年のワイオミングの雄大な自然を舞台に、そこに現れた一人の流れ者シェーンが、開拓民の家にとどまることになり、悪徳牧畜業者の手先を倒し、家族に平和が戻ると去ってゆくのでした。

[作品紹介]
・1953年/アメリカ映画/上映時間:118min
・監督:ジョージ・スティーヴンス
・出演:アラン・ラッド、ヴァン・ヘフリン、ジーン・アーサー、ブランドン・デ・ワイルド

 

8.メロディと共に甦るヒューマン西部ドラマ『真昼の決闘』

悪党と戦う保安官には自信がなく、人の助けを求めるという異色の設定。保安官も人の子、怖いこともあるのです。
  本作は10時40分から、1対4の決闘シーンまでの80分を、現実の時間の経過と共に描かれ、時を刻む緊張感は白眉。本作でゲーリー・クーパーは2度目のオスカーに輝きました。

[作品紹介]
・1952年/アメリカ映画/上映時間:84min
・監督:フレッド・ジンネマン
・出演:ゲイリー・クーパー、グレイス・ケリー、トーマス・ミッチェル、ロイド・ブリッジス

 

9. いとしのクレメンタイン『荒野の決闘』

実在の人物ワイアット・アープとドク・ホリディが、クラントン一家と対決する物語。

ワイアットは兄弟と共に数千頭の牛をカリフォルニアに売りに出かけます。途中のアリゾナで牛を見張っていた末弟が殺され、牛がそっくり盗まれてしまいます。ワイアットは犯人は近くに住むクラントン一家だと目星はついており、犯人をあげる機会を狙います……。
  劇中、ドク・ホリディの婚約者クレメンタインという名の女性が登場、原題の「いとしのクレメンタイン」はテーマ曲として使われている民謡の題名。

[作品紹介]
・1946年/アメリカ映画/上映時間:97min
・監督:ジョン・フォード
・出演:ヘンリー・フォンダ、リンダ・ダーネル、ヴィクター・マチュア、キャシー・ダウンズ

 

10. 疾走する駅馬車を描いたウエスタンの代表作『駅馬車』

1985年アリゾナのトロントからニューメキシコまで9人の乗客をのせ大平原を進む駅馬車。途中アパッチ・ウエルズに到着するのですが、アパッチ・インディアンの白煙を見てあわてて出発。ほっとしたのも束の間、毒矢が飛んできて乗客の一人に命中。怒涛のアパッチの来襲! さて乗客の運命は? 
  全編のアクションと詩情溢れた初期の西部劇の代表作として永遠に語り継がれる一篇です。

[作品紹介]
・1939年/アメリカ映画/上映時間:99min
・監督:ジョン・フォード
・出演:ジョン・ウェイン、トーマス・ミッチェル、クレア・トレヴァー



その他、10選時に悩みに悩んだ作品は、ジェニファー・ジョーンズ、グレゴリー・ペック主演の『白昼の決闘』、ウィリアム・ワイラー監督の『大いなる西部』、ジョン・ウェイン主演の『リバティ・バランスを射った男』、ヘンリー・フォンダとジョン・ウェイン共演の『西部開拓史』、リチャード・ウィドマーク主演の『シャイアン』、またまたジョン・ウェイン主演の『勇気ある追跡』、マカロニウェスタンから『荒野の用心棒』、『荒野の1ドル銀貨』、ケビン・コスナー監督・主演の『ダンス・ウィズ・ウルブス』、クリント・イーストウッド監督・主演の『許されざる者』 を「MORE10」として挙げておきます。
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