映画のジャンル毎に「オールタイムのセレクト10本」を発表していきます。第1弾は、暖冬でも凍りつく! おののきの「恐怖映画」の傑作選です。現在、人気ジャンルの一つとして定着したホラー映画はオールシーズン観ることができます。今年の秋冬も全米大ヒットのホラー映画が続々と公開されています。今回は、映画史にその名を刻む恐怖を「日本の新旧怪談話」、「流血&嘔吐の絶叫ホラー」、「名匠の心理ホラー」、「オムニバスで見せる恐怖」と4つのカテゴリーで紹介します。

映画史上最も怖い『東海道四谷怪談』

本作の恐怖を超える作品は誕生しないと思えるほど怖い『東海道四谷怪談』
まずはじめにご紹介するのは、「日本の新旧怪談話」です。旧作の筆頭株は、江戸時代後期に活躍した歌舞伎狂言作者、鶴屋南北原作の『東海道四谷怪談』。何度も映画化された「お岩さん」物では、ダントツの怖さです。

浪人・伊右衛門は、お岩との仲を引き裂かれた恨みから、お岩の父親の四谷左門とその友人・佐藤彦兵衛を手にかけます。数年後にお岩と夫婦になりますが、すでに二人の仲は冷えきっていました。そんな時、お梅と出会った伊右衛門は、今度はお岩が邪魔になり、毒を盛って殺してしまいます。晴れてお梅と祝儀をあげた伊右衛門ですが、その晩からお岩の亡霊が現れるのです。

日本映画史に残る恐怖演出は、あちこちの「お化け屋敷」に応用されています。暗がりから青白いお岩がぬぅ~っと現われます。蝋燭、蚊帳、畳というレトロな小道具から醸し出される日本様式美を逆手にとって、何とも言えない薄気味悪さを表現しています。軽い気持ちで見ると後悔します。絶望的に怖い、とんでもなく怖い一篇です。

・1959年/日本映画
・上映時間:76min
・監督:中川信夫
・出演:山田長正、山口多賀志、石川冷、天知茂

現代版ホラーの名作『リング』

全世界を恐怖に陥れたジャパニーズホラーの原点『リング』
四谷怪談の「お岩」より今ではその名を轟かせている、おっかない女性の名は「貞子」です。鈴木光司作のホラー小説『リング』の映画化で、続編『らせん』と2本立てで公開されました。

圧倒的恐怖シーン炸裂の『リング』は原作者の考えと違う方向へ展開し、ウィルス増殖ホラーから、怪談話へとシフト。映画は枝分かれして、『リング2』『リング0~バースデイ~』が公開されました。さらに韓国やアメリカでも映画化され、まさしくリングウィルス増殖は原作者の考えに戻ったという皮肉な連鎖をつくりました。ウィルスはジャパニーズホラーの量産という副産物を生み、快作『呪怨』へも繋がっています。最近でこそ勢力は弱まりましたが増殖は今もなお続いています。

・1998年/日本映画
・上映時間:95min
・監督:中田秀夫
・出演:松嶋菜々子、真田広之、中谷美紀、竹内結子

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